この記事をまとめると
■ジャーナリストが取材した結果、実用性に欠けていたクルマを6台紹介
■後席の狭さが目立つクルマは結果的に失敗しがちだ
■観音開きドアは便利そうに見えるが使い勝手はあまりよくない傾向にある
実用性がありそうでないがっかりクルマとは
クルマの実用性としては、多人数で乗車できる居住性、大きな荷物を運べる積載性、スムースな乗降性などが挙げられる。このような実用性が高そうに見えて、実際にはそうでもなかったクルマを取り上げたい。
■3列目のシートが狭いミニバン
・トヨタ・マークXジオ
・ホンダ・ジェイド
トヨタ・マークXジオは、マークXの車名を付けた3列シート車だ。発売は2007年で、マークXは後輪駆動のセダンだったが、マークXジオは前輪駆動になる。つまり、プラットフォームなどの素性は異なるが、マークXの登録台数を増やすことも視野に入れて開発された。
マークXジオの特徴は、3列目のシートを使うとミニバン、格納するとワゴン、2列目と荷室の間に間仕切りを装着するとセダンという多用途性にあった。ただしボディが大柄な割に3列目は超絶的に狭く、価格も高めだから売れ行きを低迷させた。
ホンダ・ジェイドも3列シート車として登場しながら、3列目がきわめて狭かった。加えて2列目も座面が短く、満足に座れるのは最前列だけであった。ジェイドの走りは良好で、5ドアハッチバックとしては悪いクルマではなかったが、3列シートをアピールしたから多人数乗車のニーズが増えた。
クルマの実態と市場のイメージが噛み合わず、売れずに終わった。あとになって後席が快適な2列シート仕様を加えたが、間に合わなかった。
■荷室の狭いワゴン&ミニバン
・トヨタ・カローラツーリング
・日産エルグランド
現行トヨタカローラツーリングはワゴンとして販売されているが、5ナンバーサイズに収まる継続生産型のカローラフィールダーに比べると、荷室長(荷室の奥行寸法)が50mm短い。5ドアハッチバックのカローラスポーツと比べて、120mm上まわる程度だから、ワゴンとしては荷物を積みにくい。
現行日産エルグランドは、3列目の床と座面の間隔が不足して、座ると膝が大きく持ち上がる。しかも3列目を格納する時は、背もたれを前側に倒す方式だ。その分だけ床が持ち上がる。全高も低めだから、3列目を格納した時の荷室高は、アルファードに比べて100mm近く不足している。
■乗降性の悪いSUV
・マツダMX-30
・ホンダ・エレメント
マツダMX-30とホンダエレメントは、両車ともに観音開きのドアを採用する。前後のドアを開くと、中央のピラー(柱)が残らず開放感が生じるが、前席側のドアを開かないと後席側を開けない。
つまり、前席の乗員がいない時は、後席の乗員が降車することは難しい。しかも、後席側のドアは、後席よりも少し前側に装着されているから、乗降性はクーペに近い。