この記事をまとめると
■ガソリン車の歴史は長く、ベンツの1号車が完成した1886年から約135年が経つ
■中古車市場には戦前のクルマが存在する
■いま戦前のクルマを買っても維持できるのだろうか?
メジャーなモデルであれば維持は可能
ベンツの1号車が完成したのが1886年のことだから、ガソリン車の歴史は135年少々ということになる。これはかなり長い。戦前と戦後という分け方をしてみても、日本の終戦は1945年だから、それまで69年もある。つまり、自動車の歴史で見ると、第二次世界大戦の終戦は半分ぐらいに位置する。現存するメーカーの多くは戦前から存在し、恐ろしい勢いで進化していて、仔細に見ても完成度は高かった。日本ではトヨタ、日産あたりがなんとか軌道に乗せていたが、世界的に見ればT型フォードなどが登場して戦前にすでにモータリゼーションが発生していた。
ということで、中古車市場を見てみると、意外に戦前車が売られているのを見る。T型フォードなどはストリートロット的なカスタムをされ、イベントに普通にやってくるほど。それでも、維持できるのか疑問に思うかもしれないが、結論から言うとメジャーなモデルであれば維持は可能だ。もちろん日本車の場合はほぼ全滅で、ダットサンが辛うじて走らせることができる程度である。
海外の旧車マニアと話していたり、ショップとやり取りすると、よく聞くのが戦後のクルマはクラシックカーではなくて「ただの古いクルマ」という言葉。彼らによっては真のクラシックカーは戦前車を指すらしい。
パーツに関しては一部例外を除いて、自動車メーカーから供給されることはないが、アフター製の準純正パーツは小規模メーカーやショップが作っている。以前、オペルのオリンピアというモデル(戦前から戦後直後にかけて生産)の部品入手を頼まれ、探したところ、ドイツに専門店が存在。クルマ1台まるごとのパーツリストがあって、「そこに載っているものはほぼあるから言ってくれ」と言われて驚いたことがある。
もちろん基本設計は古いので、現在の道路環境で普通に足として乗れるかというと、それは無理だろうが、趣味のクルマとしてたまに乗る程度なら十分に維持できると言っていいだろう。戦前ですでに大量生産を行っていて、品質も高かったことから、海外のモデルは残存数も多いのがポイント。少数とはいえ、商売として成り立つからこそ、今でも部品が供給されているわけで、この点さえクリアできれば、戦前車は取り立てて特殊な存在でもないと言えるだろう。
最後にトヨタ博物館でもT型フォードを何台か所有していて、運転講習会を開催していたこともある。新型コロナで行われていないようだが、それだけ普通に運転できる状態に保たれているというわけだ。