この記事をまとめると
■マツダとトヨタはアラバマ州に合弁工場「MTM」を設立してそれぞれ車両を生産している
■現状、両社が生産するクルマはプラットフォームや部品などを共有していない
■MTMは北米事業の未来に向けたもので、今後、両社間でさまざまな共有がなされると予想される
マツダとトヨタが合同で設立した工場がアラバマ州に存在
アメリカの南部、アラバマ州のハインツビルにマツダ・トヨタ・マニュファクチャリング(MTM)がある。この工場からは、2022年1月後半、日本では未発売の北米向けSUV「CX-50」が待望のラインオフしている。また、トヨタはMTMで、日本でも人気の高い「カローラクロス」を生産している。
そう聞くと、なんだか「CX-50」と「カローラクロス」がプラットフォーム等を共有する兄弟車であるように思われるかもしれない。もちろん、実際はそうではなく、「CX-50」は「マツダ3」や「CX-30」と同じ、マツダスモール商品群の1モデルであり、「カローラ」ファミリーとはまったく別の存在だ。エンジンもそれぞれ、マツダ製とトヨタ製となる。
それでも、こうした違った部品を使うクルマを同じ工場で生産することに、どんなメリットがあるのだろうか?
そもそも、マツダとトヨタが提携に関して情報を正式に公開したのは、2015年5月だった。2社の連携について詳細な協議に入ったことを明らかにしたのだ。目的は「クルマが持つ魅力をさらに高めていくこと」として、互いに経営資源を活用し、商品・技術の補完を行うことでシナジー効果を狙うとした。
その後、2017年8月に2社の連携に対する合意書を締結。具体的な連携として、BEVの共同開発、コネクテッドや先進安全技術を含む次世代領域での協業、商品補完の拡充、そしてアメリカでの完成車生産合弁会社の設立としていた。
こうした2社連携によって誕生したMTMでは、当初予定を大きく上まわる総額23億ドル(1ドル142円換算で3266億円)を投じ、従業員4000人を雇用。生産能力は最大30万台で、マツダとトヨタそれぞれが最大15万台を生産するかたちだ。