DPF・DPR・DPDって何? 「ディーゼル車に必須」最近は「ガソリン車でも必要」になってきた「排ガス後処理装置」とは

この記事をまとめると

■ディーゼルエンジン車には排出ガスの後処理装置が装備される

■DPF、DPR、DPDなどと呼ばれるものだ

■装着が義務付けられた経緯や仕組みについて解説する

「ディーゼル車NO作戦」により装着が義務に

 ディーゼルエンジン車に装備される排出ガスの後処理装置が、DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)、DPR(ディーゼル・パティキュレート・アクティブリダクションシステム)、DPD(ディーゼル・パティキュレート・ディフューザー)などと呼ばれるものだ。いずれも、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(PM=パティキュレート・マター)を捕らえ、再燃焼により除去する機能を持つ。

 ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンのように点火プラグで着火しないので、燃料の不完全燃焼がでやすい。たとえば煤だ。かつてのディーゼルエンジンが、加速をしたり、重い荷物を積んで発進したりするとき、黒い排気を出した。それが粒子状物質(PM)だ。臭いがするだけでなく、気管に吸い込むと健康被害をもたらす。

 東京都が、1999年に石原慎太郎都知事の意向を受け「ディーゼル車NO作戦」を展開してから、DPFの装着が義務付けられるようになった。排出ガスに含まれる煤がDPFで捕らえられるようになり、東京都の大気は大幅に改善された。現在では、世界的な規制となっている。

 DPFは、装置内でPMを捕獲することでガス中の煤などを取り除くが、やがて捕獲した煤などが装置内で目詰まりを起こし、機能を低下させる。そこで、装置内で煤を燃やして処理し、捕獲能力を復活させなければならない。走行中に燃料噴射量をやや増やし、装置内で燃焼させるやり方もあれば、いったん停車させ、アイドリングしながら運転者がスイッチを入れることで焼却するやり方もある。乗用ディーゼル車は、走行中に自動的に行われるので、運転者は気づかないだろう。

 じつはPMはガソリンエンジン車でも排出されるようになった。ディーゼルエンジンと同じ筒(シリンダー)内への燃料直噴によるガソリン供給が行われるようになったからだ。

 従来のポート噴射であれば、ガソリンと空気がよく混ざった状態で筒内に入り、点火プラグで着火するので、煤のような不完全燃焼は起こりにくかった。燃料そのものが燃え切らず出てくる炭化水素(HC)の排出はあったが、それは三元触媒で酸化され、処理される。

 しかしディーゼルエンジンと同じ直噴だと、筒内へ直接燃料を吹き込むので、十分に空気と混ざり切らない状況が残り、それがPMとなって排出されるようになった。点火プラグで着火するので、ディーゼルエンジンに比べ排出量は少ないが、それでもPMは排出されているのである。

 欧州では、GPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)の装備が義務付けられている。日本の排出ガス規制は、ここが手薄だ。欧州からの輸入車は、地元での規制に対応した装備のまま日本に導入される例が多いため、GPFが装備されている。ディーゼル車の増加と、直噴ガソリン車の普及により、大気汚染の懸念が再び起こる可能性がある。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
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乗馬、読書
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