この記事をまとめると
■FFには走行トルクによってステアリングが取られる「トルクステア」という現象がある
■トルクステアは左右のドライブシャフトの長さが異なるために起こる
■最近のFFは十分な対策が施されておりほとんどトルクステアは発生しない
トルクステアはFFならではの現象
FFとFR(ミッドシップも含めて)のハンドリングを較べる上で、FFのみに見られる「トルクステア」という現象がある。現象というより悪癖と言ったほうが正解だろう。
トルクステアとは、その名のとおり走行トルク(駆動系)によってステアリングが影響を受け、舵角が当たって(向きが変わって)しまうことをいう。
これは、エンジン横置きのFFで左右のドライブシャフト長が異なっている場合、ドライブシャフトが回転によって発生する慣性マスが左右で不均衡となり、ドライブシャフトの長い方(質量が大きい方=回転力が強い方)にステアリングがとられてしまう現象だ。エンジン横置きのFF車の場合(現在ほとんどがこの方式だ)、トランスミッションをボディ中心軸上に位置に配置することができず、左右どちらかにオフセットして搭載されるため、左右のドライブシャフト長(=質量)が異なることで起きる。
トルクステアは、エンジンパワー(トルク)が大きなクルマほど発生しやすく、とくに急激なパワーオン(スタンディングスタートなど)時にしばしば見られる現象だ。