この記事をまとめると
■インドネシア国際オートショー2022のヒョンデブースをリポート
■コンパクトMPVモデル、スターゲイザーが注目を集めていた
■トヨタ・アバンザや三菱エクスパンダーにどこまで肉薄できるかが注目だ
コンパクトMPVクラスでの日韓の熾烈な争い
筆者がコロナ禍前最後にGIIAS(ガイキンド・インドネシア国際オートショー/以下インドネシアオートショー)を訪れたのは2019年。そのころの韓国ヒョンデブースといえば、まさに“ウナギの寝床”のように細長く狭いイメージがあったのだが、今回訪れるとインドネシア国内販売トップのトヨタ並みのブース面積を確保していた。
それもそのはず、ヒョンデは2022年3月にインドネシアにて新工場を稼働開始、日本でも話題になっているBEV(バッテリー電気自動車)のアイオニック5や新興国向けコンパクトクロスオーバーSUVのクレタなどを生産している。そして今回のインドネシアオートショー開催に合わせ、2022年7月にコンパクトMPV(多目的車)となる“スターゲイザー”の生産も始めている。
スターゲイザーはショー会場でも話題となっていた。ASEAN各地で大ヒットとなっている三菱自動車のコンパクトMPV、“エクスパンダー”を完全にロックオンしたのがその理由だ。
ちなみに、トヨタは新興国向けコンパクトMPVとして“アバンザ”をラインアップしているが、インドネシアでは“国民車”といっていいほど人気が高くよく売れている。エクスパンダーは王者アバンザに挑むべきデビューしたモデルともいっていいだろう。そのアバンザも最近フルモデルチェンジを行い、新型となっている。
エクスパンダーが三菱車定番の“ダイナミックシールド”フェイスを採用し、押しの強いイメージを強調しているのに対し、スターゲイザーは兄貴格ともいえる大型ミニバンの“スターリア”を小さくしたような、コンセプトカーをそのまま市販車にしたような流麗なフォルムを採用しているのが特徴。エクスパンダーの価格が2億5340万ルピア(約230万円)からとなっているのに対し、スターゲイザーは2億4330万ルピア(約221万円)とまさにガチンコ状態となっている。
インドネシアではスターゲイザーはまだ発売になったばかり、スターリアについては2021年8月より発売となっているが、タイではバンコク辺りでは発売直後から大ヒットしているのに対し、インドネシアでは滞在中にジャカルタ市内でもほとんど見かけることがなかった。タイより“オラオラ”フェイスが好まれるマーケットなので、スターゲイザーがどこまでエクスパンダーに迫れるかは注目に値するといえよう。
ちなみにインドネシアでは日産からエクスパンダーのOEMとなる“リビナ”がラインアップされており、こちらもジャカルタ市内で見かけることができた。なおホンダではモビリオ、スズキからはエルティガというコンパクトMPVがラインアップされている。さらに中国ウーリンブランド(上海通用五菱汽車)も、コンパクトMPVをラインアップしている。こちらは、すでにコロナ禍前にデビューしていたのだが、そのころは見向きもされないといった感じの状況だったが、今回ジャカルタ市内やその近郊では数多く見かけるようになっており、消費者の間では確実に選択肢の一つになってきているようである。スターゲイザーの登場により、コンパクトMPV市場はさらに刺激を受けて盛り上がりそうだ。
タイではスターゲイザーはまだ発売されていないようだが、デビュー後はエクスパンダーに肉迫することになりそうである。