この記事をまとめると
■昔はクルマのエンジンルームに金属を使用した部分が目立っていた
■しかし現在は樹脂を多用したものが多くなっている
■理由は生産性や燃費の問題、トレンドなどさまざま
スポーツカーでも静かさが求められる時代
エンジンルームというのは普段見えないとはいえ、クルマ好きにとっては重要なポイントだ。ボンネットを開けたときに目に飛び込んでくる風景にわくわくさせられることすらある。昔と最近のクルマを比べると、エンジンルームは大きく変化している。まったく違うと言っても大げさではない。
現在のクルマを簡単に言ってしまえば樹脂だらけ。昔のクルマは金属部分も多く、いかにもエンジンルームという雰囲気を漂わせていた。エンジン単体で見ても、ヘッドカバーは金属製だったのが、今では黒い樹脂製だったりする。好みもあるだろうが、クルマ好きとしては樹脂でカバーされたエンジンルームというのはなんだか味気ない。
なぜ樹脂が多用されるようになったかというと、まずは生産性の問題。型で作れる樹脂のほうが大量生産に向いていて、金属はプレスして作り、さらに塗装する必要があるのでかなりの手間がかかってしまう。樹脂は無塗装が基本で、金属を使うという負担は大きく、コストにも影響する。
そのほか、金属製だと重量は当然かさむので、燃費にも悪影響を与えてしまう。今やどのメーカーも軽量化については涙ぐましい努力を重ねているだけに、ヘッドカバーとはいえ、金属を使用しているのは大きなハンディだ。
また意外に大きいのが遮音性。今やスポーツカーでも静かさが求められる時代だ。金属は共振しやすい一方、樹脂は遮音性にも優れていて、エンジンルーム全体をカバーするのは音を押さえるというのが一番の目的となっている。
もちろんデザイン性もあって、金属のヘッドカバーなどはいかにも機械という感じはあるものの、レトロなのは否めない。最近の樹脂カバーでも、小さくスリッドが切ってあったり、エンブレムが付いているなど、小技も効いていたりする。低級グレードでカバーなし、エンジンがそのままむき出しというのを見るとガックリするだけに、エンジンルームの眺めひとつ取ってみても、流行や進化があると言っていい。