この記事をまとめると
■クルマのボディの組み立てに、構造用接着剤が使われることが増えた
■エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤に大別される
■構造用接着剤のメリット・デメリットを解説する
接合強度はスポット溶接・ボルト・リベットの2倍以上
クルマのボディの組み立ては、何枚ものパネルを接合して作られている。その接合方法は、ネジ、リベット、スポット溶接などが一般的だが、最近は欧州車を中心に接着剤で接合する例が増えてきた。
子供の頃、プラモデル作りなどに親しんできた世代からすると、「接着剤? 溶接などに比べるとかなり頼りない気がするが、ボディパネルの接合に使って大丈夫なのか?」と心配になってしまうかもしれない。
でも心配ご無用。自動車のボディなどに使われる接着剤は、強度と耐久性が必要な箇所に用いられる構造用接着剤といって特殊なシロモノ。その接合強度は、スポット溶接、ボルト、リベットなどの2倍以上といわれている。
構造用接着剤は、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤に大別され、エポキシ系接着剤は、材料強度が高く、耐久性に優れているのがメリット。
近年使用が増えてきた、アクリル系接着剤は、エポキシやポリウレタンよりも、硬化が速いのが特徴。樹脂などとも相性がいい。
ウレタン系接着剤は、エネルギー吸収が必要な複合材を接着するのに適している。とくにエポキシ系とアクリル系接着剤は、高張力鋼やアルミニウムの接合が得意。
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの複合材料の接合には、構造用接着剤なら歪みや樹脂の劣化の心配がないことも普及を後押ししている。
具体的にはフロアパネル、ピラー、ドア、テールゲート、フード、トランクリッドなどの接合に構造用接着剤が使われていることが多い。