この記事をまとめると
■トヨタ・スープラのルーフにはふたこぶのふくらみがある
■これはダブルバブルといわれるものでスポーツカーの定番的なデザイン処理だ
■ボディをコンパクトにしつつもルーフに頭が当たらないように「逃げ」としての機能を持つ
スポーツカーの定番デザイン「ダブルバブル」
MTが設定されて話題になっているスープラ。そのルーフをあらためて見ると、平らではなくて、左右が膨らんでいることに気が付く。単なるデザイン的なアクセントかと思いきや、ダブルバブルという名称が付いている形状で、スポーツカーの定番的な処理として古くから採用されているものだったりする。
ダブルバブルのバブルは膨らみという意味で、左右が膨らんでいるからダブルが頭に付いている。もともとは1950年代あたりのプロトタイプスポーツカーに採用されていたもので、ボディをコンパクトにしても頭が当たらないようにする、いわゆる逃げとしての機能を持たせたもの。ヘルメットを被って乗ると実際に当たることもあって、実用的な意味合いはチャンとあった。
そのなかでも初めて採用されたとされるのが、コンパクト&小排気量のクルマを得意としてレースで暴れまくったアバルトの750GTザガートで、ダブルバブルのサブネームが付くこともあるほど。実車を見ると、かなり小さくてダブルバブルは実用性もあったことが見て取れる。
その後、ザガートデザインのアイコンにもなったが、同時にスポーツクーペの象徴的なディテールとなって、それがスープラにも採用されているわけだ。じつにマニアックな装備で、知っている人が見るとスポーツカーとしてのツボを押さえたディテールだな、ということになろう。
スープラ以外で、最近の例としてはプジョーのスポーツクーペであるRCZやポルシェのスポーツクラシックなどが採用している。