【試乗】NISSAN ARIYA に搭載されたプロパイロット2.0の実力が圧巻 日産の”高速手放し運転”なら今後10年は業界トップの高性能! (1/2ページ)
NISSAN ARIYAハンズオフ技術で業界リード
各メーカーから対応モデルが発売され、注目を集めている自動運転レベル2のハンズオフ機能。それを2019年にいち早く市販した日産の「プロパイロット2.0」には1日の長あり。今回は、同機能搭載のARIYAで往復約200㎞のドライブを実施。その実力を改めて検証してみた。
日産らしい巧みな制御で 違和感ない運転支援を実現
昨今、世界の自動車メーカーが熱心に研究・開発を進める「自動運転技術」。
クルマ好きのなかには、このようなデバイスに対して懐疑的な人も多いが、私は運転するうえで欠かすことのできない重要なアイテムのひとつだと認識している。
なぜなら、リアルにその恩恵を受けているからだ。
私の自宅は静岡県三島市で、取材があるタイミングで都心部に行くという生活スタイルだが、その距離は往復で約200㎞。最近は「試乗をしたあと、すぐに原稿を書く」という速報体制も多いので、移動時は体力/精神力を温存しておきたいのが本音である。
じつは「運転」という行為は思っている以上に疲れるもの。疲労が溜まれば集中力、認識力低下に繋るが、そんな時にクルマがサポートしてくれると何と嬉しいことか……と常々感じていたのだが、それを実現するのが、自動運転技術である。
昨今、さまざまなメーカーから運転支援システムを搭載したクルマが発売されているが、そこには確実に性能差が存在する。なかでも私が信頼するのが、日産のプロパイロット2.0である。
プロパイロット2.0は、「先行車両と車間距離を保つ」ためのアクセル/ブレーキ制御と、「車線中央を走行する」ためのステアリング操作支援を統合制御。さらに高速道路や自動車専用道路でステアリングから手を離すことが可能な「ハンズオフ機能」と「追い越し時の車線変更支援」、ナビと連動して高速道路の本線合流から出口までの間での「ルート上での必要な車線変更と分岐の支援」を実現している。それらを可能にしているのは、「3D高精度地図データ」とフロント3眼カメラ(トライカム)を含む7個のカメラ/5個のミリ波レーダー/12個のソナーを用いた「360度センシング」、そしてこれらが正確に作動していることを知らせ、ドライバーに安心感をもたらすのに欠かせないインターフェース。さらに今回日産アリアから日本初採用となった準天頂衛星システムみちびきからのCLAS信号受信による高精度な自車位置測位だ。
プロパイロット2.0のここが凄い! ①
「ハンズオフを利用できるシーンが圧倒的に広い!」
ほとんどの高速道路に対応 首都高速も制限速度120㎞/h区間もOK !
首都高をはじめ、全国ほとんどの高速道路で利用できる。新東名、東北道の一部区間で設定されている120㎞/h区間に対応。さらに作動するシーンが多いのが何より賢い。標識検知機能で、検知した制限速度が自動的に設定車速に反映される。ナビの目的地をセットしなくてもハンズオフは作動する。
カーブでもハンズオフを継続
ナビの地図情報をベースに、カーブの大きさに応じて速度を自動調整。
ハンズオンへの切り替えもスムース
高速ハンズオフ利用時に少し加速したいとき、ハンドルをもってアクセルを踏み込めばハンズオンモードへとスムースに切り替わり、ライン照明などが緑になる。ドライバーの意図する走りを妨げない設計なのだ。
実際の利用シーンでは、まず料金所を抜けて高速道路本線へと合流。プロパイロットスイッチ→SETを押すと車速・車間制御機能(インテリジェント クルーズコントロール)+車線維持機能がONとなるが、3D高精度地図データや各種センサー、ドライバーモニターカメラなどの判断でシステムが『ハンズオフ運転が可能である』と判断すると、メーター内の表示色が緑から青に変更される。スイッチオンから作動開始までもすばやい。使用可能領域は日本のほとんどの高速道路をカバーし、渋滞時〜新東名などの120㎞/h区間まで、道路側の制限速度内で速度に縛りがないのも嬉しい。
ハンズオフ走行に入ると、直線では車線内の中央をフラつくことなく正確にキープ。コーナーはまるでプロドライバーが操作しているかのようにスムースで滑らかに制御される。カーブの曲率に合わせた減速支援や、他車が割り込んできた時のブレーキ制御なども、まるで透明人間が自分に代わって操作しているかのような自然で確実な制御は「お見事!!」のひと言だ。さらに前方に遅い車がいると「追い越し時の車線変更の支援」も行ってくれる。これはビギナードライバーにとっては救世主のような機能と言っていいだろう。
じつはこの原稿も、アリアで帰宅後、そのまま自宅で書いている。他のクルマよりも疲れが圧倒的に少ないので、筆の進みがいい事いい事(笑)。これがプロパイロット2.0の凄さだが、システムそのものの能力の高さはもちろん、アリアの基本素性の高さも、その性能に大きく貢献している。具体的には操作に忠実かつ緻密に応答するモーター駆動に加えて、体幹の強さを実感するボディ、正確性で滑らかなステア系、俊敏なクルマの動きとしなやかな足さばきを両立させるシャーシなどが挙げられる。そういう意味では、プロパイロット2.0と電気自動車の相性は非常に良く、「意のままの操縦性」は、「意のままの運転支援」と深く関係性がある……というわけだ。
プロパイロット2.0のココが凄い ②
「使いやすいインターフェース」
サイズの大きいヘッドアップディスプレイ
日産最大サイズとなる11.5インチのヘッドアップディスプレイ。プロパイロット作動状態や車速、ナビ情報などを少ない視線移動で確認できる。
色で瞬時に状況が把握できるメーター
プロパイロット2.0(ハンズオフ)モードでは作動状態を青で表示。周囲のクルマの状況や追い越し、高速道路出口前での車線変更などをわかりやすく案内。
緑の表示はハンズオンを促すクルマからの合図。オーラなどに搭載されているプロパイロット(ナビリンク機能付き)と同機能状態となる。
白はインテリジェントクルーズコントロールモード(プロパイロットOFFの合図だ)。
視認性の高い大型ディスプレイ
12.3インチワイドディスプレイを2枚組み合わせた統合型インターフェースディスプレイ。目線移動に合わせてレイアウトされ、ナビや走行情報などをわかりやすく表示する。
ボタンひとつで簡単設定
プロパイロットスイッチを押し、ノブを”SET-”方向に押せばシステムON。車速や車間の設定も簡単。
運転状態を監視するドライバーモニターカメラ
ステアリングコラム上に自然にレイアウトされたドライバーモニターカメラ。ドライバーの居眠りや脇見などを検知した場合、音と表示で警告。
広々空間でハンズオフ時も足もと快適
プロパイロット使用時は、ペダル操作から足を解放。ARIYAは足もとがフラットで広々としており、ゆったり快適に過ごせる。