普通のタイヤじゃ何か不都合ある? いまミニバンやSUVの「専用タイヤ」がラインアップされるワケ

この記事をまとめると

■最近はミニバン専用タイヤ、SUV専用タイヤがおなじみになっている

■重心が高く重量が嵩むミニバンやSUV用にサイドウォールの合成が高くなっている

■ミニバンやSUVの持ち味を引き出すには対応力のある専用タイヤのほうが適している

ミニバン&SUVタイヤが持つ一般タイヤと異なる特性

 タイヤというのは過酷で、どんな高性能車も4本ですべてを受け止めている。接地面積はよく言われるように、1本あたりハガキ1枚程度だ。こうなると1種類のタイヤでは対応できず、タイヤメーカーは性能を特化することで、車種の特性に合わせた製品を作っている。

 いままでは高出力車などの特殊な車種向けは別として、サイズさえ合えばとくに車種を問うことはなかった。しかし最近、ミニバン専用タイヤ、SUV用タイヤがお馴染みになっている。もちろん見た目はベーシックなタイヤと大きく変わるところはないのだが、実際はどんな性能の違いがあるのだろうか。

 まずミニバンとSUVの特性として重量がかさむというだけでなく、重心が高いというのがある。それゆえ、大きくストレスがかかるのがコーナーで、とくに外側に荷重がかかりやすい。つまりグラつきだ。この対策としてサイドウォール、トレッド内外側の剛性を確保してしっかり感を出して、ふんばるようにしつつ乗り心地も両立させるようにしている。

 もちろん、外側の荷重が大きいということは、タイヤの外側が減りやすいということでもあり、偏摩耗が起こりやすく、これを抑えるためにも外側の剛性を高めるのは重要だ。また、力が大きくかかることでタイヤ全体がたわみやすいので、全体的にしっかり感を出して、接地面積にあまり変化がないようにも配慮されている。

 一方の内側についてはあまりストレスがかからない分、静粛性を高められるようにトレッドのデザインを変えているのも特徴だ。つまり左右非対称のトレッドパターンであることが多い。静粛性についてもSUVやミニバンならではの特徴といってもよく、キャビンとラゲッジがつながっているなど、車内に音がこもりやすい。多人数で楽しく移動できるというのも重要視される車種でもあるので、静粛性も重要なポイントなのだ。

 整理すると、車重があって重心も高いのを従来のタイヤが支えるのは役者不足な部分もある。最近では軽のハイトワゴン向けもあったりするが、理由は同じ。もちろん問題なく走るので、一般的な銘柄でもいいのだが、それぞれの車種の持ち味を引き出すには、対応力のある専用タイヤのほうが優れているということになる。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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