この記事をまとめると
■電気自動車の充電問題になると多くの人の興味は急速充電に向きがちだ
■本来、充電設備で優先すべきは200V(ボルト)による普通充電の充実だ
■充電は出かけた先の急速充電器がある場所で行うのではなく、自宅で済ませるのが基本である
じつはすでに急速充電器の設置は国内全域を網羅している
電気自動車(EV)の充電の話になると、多くの人は急速充電器のことしか注目しない。そして、整備が不十分だと結論付ける。
もちろん、すべてが完璧ということにはまだなっていない。だが、現在国内に設置された急速充電器の数は約7500か所にのぼり、ごく一部の地域を除き、ほぼ国内全域を網羅している。したがって、急速充電器がなく充電できないといった不安は、ほぼ解消されている。
しかし、EVの販売台数が増えるにつれ、急速充電器の設置場所に到着すると、すでに先に充電しているEVと重なってしまうことが起きている。休日などにはそれが数台の順番待ちとなる場合がある。そこで、同じ急速充電設備で、複数の充電ケーブルを備えることが望まれ、急速充電の社会基盤整備を行うイー・モビリティ・パワーでは、複数口化を進めているところだ。
車両側では、バッテリー容量を大きくすることで、一充電走行距離を延ばそうとする動きがあり、この場合、急速充電器の高性能化が望まれている。
電気の充放電は水の流れに例えることができる。蛇口からある一定の流れのまま、大きなバケツに水を貯めようとすれば長い時間を要する。そこで、もっと蛇口を開け、流量を増やそうというのが急速充電器の高性能化だ。現在最大で50kWh(キロ・ワット・アワー)という仕様が比較的高性能な急速充電器とされているが、さらに90kWhや150kWhなどへの高性能化を望む声が、高性能であったり上級車であったりするEV所有者から出ている。