この記事をまとめると
■スマートキーは持ったままドアノブやボタンに触れたり、車両に近づくだけで、解錠・施錠ができる
■しかしスマートキーにはなぜかボタンも残されている
■ボタンが必要になるケースについて解説する
キーの電波の有効範囲は約1m
今ではすっかり主流となっている「スマートキー」。キーをバッグやポケットに入れて携帯していれば、いちいち取り出してボタン操作をしなくても、ドアについているスイッチを押したり、ドアハンドルを握ったりするだけで、ドアロックの解錠・施錠ができて便利ですよね。なかには、手も足も使わず、ただスマートキーを持った人がドアに近づくだけで、自動で解錠され、降りた際にはドアを閉めて離れるだけで、自動で施錠されるクルマもあります。
ドアロックだけでなく、エンジンをかける際にもスマートキーなら取り出す必要はなく、そのまま指でスタートスイッチを押せばエンジン始動。昔はキーを鍵穴に差し込み、回してキュルキュルという音とともにエンジンをかけていたものですが、ずいぶん簡単になりましたよね。このスマートキーというのはトヨタが使っている呼称で、自動車メーカーによって呼称が変わります。たとえば日産ならインテリジェントキー、ホンダならHondaスマートキー、マツダならリモートコントロールキーといった具合です。
これだけ普及してくると、もはやキーを手に持って使うことはまったくなくなった、という人も多いと思います。でも、そんな今でもキーを見てみると、施錠・解錠・トランクの開閉などの物理スイッチがちゃんとありますよね。みんな使わないのになぜ、スマートキーにはいまだにボタンが残されているのでしょうか。
そもそもスマートキーの仕組みはどうなっているかというと、キーと車体側の双方に電波を送受信することができる機器が備わっていて、常に微弱な電波を送信し続けています。電波の有効範囲は約1m前後ととても狭く、この範囲内に近づかないと相手に受信されないようになっています。そこで、スマートキーを携帯した人がクルマに近づくと、電波を送受信しあって電子IDを照合し、暗号がピタリとあえばドアロックが解除され、車内でスタートボタンを押すとエンジンが始動するというわけです。
そして施錠する際は、スマートキーを携帯した人が車外に出てドアを閉め、電波の有効範囲内からいなくなると、施錠されるという仕組み。そのため、たとえば車内に同乗者がいて、もう1個のスマートキーを携帯していたり、車内に置いてある場合には、通常は施錠されないようになっています。これはキーを車内に置き忘れたままインロックしてしまうリスクへの対処です。ただ、スマートキーの電池が切れたり弱くなっていたり、スマートフォンなど強力な電波を発する物と一緒に置いてあったり、トランク内など電波が邪魔されやすい場所にあったりする場合には、車内にスマートキーがあってもインロックされてしまう可能性もあるので、注意が必要です。
近年では、スマートキーで荷室だけを開け、積み込んだ荷物と一緒に誤ってスマートキーも入れてしまい、そのままバックゲートを閉じてロックがかかってしまう、という事例も多いようです。便利になったといえども、うっかりミスによる不便はつきものですね。何事も、多くの人に便利さを提供できたとしても、ユーザーにはさまざまな使い方をする人や事情を持つ人がいますから、スマートキーが逆に不便に感じるシーンもあるものです。