この記事をまとめると
■電動化はどの国がもっとも進んでいるかに明確な答えを出すのは難しい
■EVに関してはいち早く日本が実用化しており、欧米はその基礎技術を応用してEVを高性能化している
■本来のEVは環境に負荷をかけない社会の象徴であるべきで、その価値の追求では日本が最先端だと感じる
世界の自動車メーカーが電動化を声高にアピールする時代
電動化はどの国が一番進んでいるのか? という問いに対する答えは難しい。まず、電動化という言葉が曖昧であり、電気自動車(EV)に世界的な注目が集まりはじめると、トヨタはハイブリッド車(HV)も電動化の事例であり、1997年以来電動化技術を積み上げてきたと自負するに至っている。
EVというクルマに限定すれば、2009年に三菱i-MiEVが量産市販され、続いて10年に日産リーフが発売されることにより、日本が先駆者となった。リチウムイオンバッテリーをEVに車載して売ったのもその両社が世界初だ。
充電に関しても、急速充電の基盤整備のためCHAdeMO(チャデモ)が組織され、EVと急速充電器の間で通信による相互確認を行い、安全に充電する考え方を日本が示した。200V(ボルト)の普通充電においても、単にケーブルをEVにつなぐのではなく、EVの充電状況を確認しながら安全に満充電を果たすためのコントロールボックスをケーブル途中に設置する必要性を日産が示し、それが世界的な標準となっている。
EV後のリチウムイオンバッテリーの二次利用に関しても、フォー・アール・エナジー社をリーフ発売前に設立した日産が先駆者であり、十数年の間に販売されたリーフのバッテリーを二次利用に活用する具体的事業が始まっている。
かつて、戦後の日本は欧米の技術を使い、その応用でさまざまな商品を安く製造し、世界に販売して経済成長を果たしたと、揶揄を含めいわれ続けてきた。だが、EVに関しては、欧米も中国も、日本が築き上げた基礎技術や基盤となる事業化のうえに、地域に適応した拡大採用を行っているのであり、日本車のEVに比べ高性能であったり、日本の社会基盤に比べ高性能な急速充電方式であったりしても、その多くは日本が基礎を築いたからこその展開だ。三菱自や日産の取り組みがなければ、もっと手間と費用が掛かっただろう。