この記事をまとめると
■世界的にデザインが評価されているクルマを6台ピックアップ
■レーシングカー譲りのデザインはあのフェラーリ創業者も唸るほどだった
■日本にも世界レベルで評価されているクルマがあった
美しいと言われているクルマをまるっとおさらい
世界で一番美しいクルマはなにか? 同様の話題はよく見かけますが、どのクルマを選んだとしても「一番」となると”たったの1台”になってしまうので、ここではクラシック部門として1960~70年代前半、ネオクラシック部門として1970年代後半以降と、それぞれから3台ずつを選んでみたいと思います。
レースカーの高性能を美しさに変える
クラシック部門の1台目は、もはや定番といえる「ジャガー・Eタイプ」です。
XKシリーズの後継として、1961年のジュネーブショーで発表されるや大評判となり、翌年のニューヨーク国際オートショーへの出品によりアメリカでも大ヒット。
あのエンツォ・フェラーリをして「これまで作られたすべてのクルマのなかでもっとも美しい」と言わしめたボディは、C、Dタイプに続くマルコム・セイヤーの手によるもの。リヤに重心を置いた超ロングノーズスタイルが話題ですが、上質なバンパーに上品で個性的なグリル、リヤの横型ランプの繊細さなど、細部まで徹底された美意識にも注目です。そうそう、2017年に10台限定でレストアされたこともこのクルマの魅力の証と言えるでしょう。
続く2台目はアルファロメオ「ティーポ33/2ストラダーレ」です。
プロトタイプ、ティーポ33/2の公道バージョンとして発表されたのは1967年のトリノショー。V8、230馬力というレーシングカーそのものの高性能を、「神の造形」と言われるスタイルにまとめたのは、当時ベルトーネのチーフであったフランコ・スカリオーネです。
アルファロメオB.A.Tシリーズなど、氏の航空機学の知識を生かした空力的な作品のなかでも、もっとも美しいプロポーションをもちます。ボリュームたっぷりのフロントフェンダーに埋め込まれた大きなライトの存在感、徹底して低く抑えたサイドボディからエアインテークへの流麗な面構成、豊かなリヤフェンダーと短く切り落とされたリヤパネル。これらの徹底されたバランスと、わずか18台という生産台数が、「神」という言葉につながったのかもしれません。
クラシック部門3台目は、これもご存じ「ランボルギーニ・ミウラ」。
1966年のジュネーブショーで発表された同車は、V型12気筒搭載のミドシップスポーツとして、初のスーパーカーと呼べる存在でした。
スタイリングはベルトーネのマルチェロ・ガンディーニ。のちに同じくランボルギーニの「カウンタック」やランチア「ストラトス」、シトロエン「BX」などの名車を立て続けに送り出した天才デザイナーですが、その名声はすでにこのミウラで決定付けられました。比較的フラットなボンネットフードを始め、とにかく全高を抑えた低いボディが特徴ですが、それでも前後を流れる流麗なカーブは十分な抑揚を持ったもの。さらにフロントランプやエアインテーク、アンダーバンパー、リヤパネル下部など、要所に施されたブラックパーツが絶妙なアクセントになっています。