クルマ2台の抱き合わせ! ド新車なのにオークション! 抽選販売どころじゃない世界のぶっ飛んだクルマの売り方 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■世界には思いもよらないようなクルマの販売方法があった

■旧モデルの再生産や限定モデルとのセット販売、生産第1号車のオークションなどが代表的

■クルマの販売方法の究極の形態はカスタマーの希望を反映するワンオフ製作だ

自ブランドのレガシーを再生産するという驚くべき商法

 いまや自動車の世界でも、限定車はもちろんのこと、そのインターネットでの抽選販売など普通のことのように感じるようになってきたけれど、世界にはまだまだぶっ飛んだクルマの売り方がありました、というのが今回の話。

 もちろん個人的には、それぞれ理には適っていると思うので、それを否定するつもりは一切ないけれど、俗にプレミアムブランドと呼ばれるメーカーは、やはり歴史とバリューがあればあるほど、「やることが違うよな」という印象だ。まずは「もう売るモノがないのなら、また作ればよいではないか」という例から紹介することにしよう。

 それはエンスージアストが羨望の眼差しを注ぐ、過去のクラッシックモデルを再生産するという、誰もが驚くプランだった。たとえばジャガーは1963年から1964年に製作されたライトウエイトEタイプの完全復刻モデルを、2014年になって6台のみ限定生産すると発表。

 ジャガーの説明では、これはそもそも18台が生産される計画だった同車は、当時12台が完成したのみで残りの6台は現在でも半世紀以上にわたり生産されることなく、シリアルナンバーもそのまま使用されずにいた、という理由によるもの。

 つまり、これは当時のライトウエイトEタイプのレプリカではなく、あくまでも生産を再開したモデルだというのだ。

 ジャガーは2016年にはル・マン24時間レースを制したDタイプの公道仕様ともいうべきXKSSの再生産も行っている。

 こちらは1957年に同社のブラウンズレーン工場の火災で焼失した9台のXKSSの再生産というのがオフィシャルな説明。シャシーナンバーは、16台が生産された当時のXKSSに続くものとされている。気になるプライスは100万ポンド、当時のレートで約1億4000万円を超えたと噂されている。

 さらに、2018年にはそのXKSSのベースたるDタイプも25台の復刻生産を決定。

 この頃になると、そもそもDタイプは100台の生産計画だったが、実際には75台しか製作できなかったためと、だんだんその理由づけもアバウトなものになってくる。

 このジャガーのビジネスを見てかどうかは分からないが、同様の再生産プログラムでやはり大きな話題を呼んだのが、同じイギリスのアストンマーティンだ。アストンマーティンは、同ブランドのエンスージアストのみならず、クラッシックカーのファンにとっても究極の一台ともいえるDB4 GTザガートの再生産モデル、コンティニュエイションを2016年に発表。

 こちらは生産台数が19台と限られるほか、購入を希望するカスタマーには、前後して誕生する予定のDBS GT ザガートとセット販売が義務付けられるという、凄まじい商法が展開されていた。

 参考までにそのセット価格は600万ポンドと約8億円に相当する数字だったが、それでも1960年代当時のオリジナルのDB4 GTザガートよりは、はるかに安いからお買い得だったかもしれない。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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