抜けていくことを考えて少し多めはアリ! ベストなクルマのタイヤ空気圧設定とは

この記事をまとめると

■愛車の空気圧点検を月1回以上実施している人はわずか24.3%

■タイヤは正しい空気圧にすることではじめてベストな性能を発揮する

■タイヤ空気圧の適切な点検・調整方法を解説する

月1回以上点検している人は4人に1人以下

「月に一度はタイヤの空気圧の点検・調整を」といわれているが、空気圧はどのタイミングでどの数値に合せればいいのか。

 タイヤは正しい空気圧のとき、はじめてベストな性能を発揮する。一般的に「タイヤが空気圧に依存する割合は90%」とされ、モータースポーツではタイヤの空気圧の調整が勝敗を分けることもめずらしくない。

 しかし、JATMA(一般社団法人日本自動車タイヤ協会)によると、空気圧点検を「月1回以上実施」しているユーザーは、4人に1人以下(24.3%)で、高速道路で行なった調査では、検査したクルマの半数が空気圧不足というデータも……。

 ではどうすれば適正な空気圧が保てるのか。

 あまりナーバスになる必要はないが、月に一度、走行前のタイヤが冷えている時にエアゲージで点検・調整すればOK。

 合せる数字は、運転席側のドア付近に貼付された空気圧表示シールに書かれている、自動車メーカー指定の車両指定空気圧がベスト。

 タイヤは同じタイヤでも、空気圧の高低によって最大負荷能力が変わってくるので、勝手に変更するのはけっこう危険。

 ±10~20kPaの範囲なら、セッティングの幅として利用できないこともない。

 たとえば基準値より空気圧を低くすると、乗り心地がよくなるとか、接地面積が増してグリップ力・グリップ感が増すとか、熱ダレを起こしにくくなると行ったメリットがあるが、ヒートセパレーションなどのタイヤの損傷、パンクやバーストのリスク、偏摩耗、燃費の低下、摩耗ライフの低下、走安性のダウン、耐ハイドロ性能の悪化などのデメリットも発生する。

 一方、空気圧が指定値より高いと、転がり抵抗が少なくなり、燃費の向上、最大負荷能力のプラス、剛性感のアップ、耐ハイドロ性能が強くなるなどのメリットがあるが、そのトレードオフで乗り心地の悪化やトレッドセンター部の偏摩耗などのマイナスも。

 そうしたプラスマイナスを考えたとき、指定空気圧が一番バランスがとれた状態といえるわけだが、タイヤ自体にまったく問題がなくても、「自然空気漏れ」の影響で、1カ月で約5~10%も空気圧が低下してしまう……。

 空気圧は低いよりも高い方が圧倒的に支障が少ないので、「自然空気漏れ」の分を見越して、指定空気圧を基準とし、0~+20kPaの範囲内で調整するのは賢いやり方。

 空気圧は気温が10℃上がると10kPa上がり、10度下がると10kPa下がるともいわれているので、夏から秋、秋から冬に向かう時期はプラスの方向、冬から春、春から夏にかけては、指定空気圧ピッタリぐらいに合せるのもいいかもしれない。

 いずれにせよ、空気圧の重要性がピンとこない人は、タイヤの空気が抜け気味の自転車と、たっぷり空気を入れた自転車を乗り比べてみれば、その違いが実感できるはず!

 大事な愛車に快適、安全、経済的に乗るためにも、横着せずに月に一度の空気圧の点検調整だけは確実に実施することを習慣化しよう。(バルブキャップの装着も確実に!)


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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