この記事をまとめると
■アメリカで大人気のNASCARが2023年のル・マン24時間レースに出場する
■元々はアメリカ南部で人気のローカルレースといった印象だった
■ケーブルテレビの発達とともにガンガンぶつける過激なレースシーンで人気を獲得した
もともとはアメリカ南部のローカルレースだったNASCAR
NASCARが2023年ル・マン24時間レースに出場する!? 日本人がそう聞いても、なんだかピンとこないのではないだろうか。
そもそも、日本ではNASCARの認知度が極めて低い。「NASCAR」とは、ナショナル・アソシエーション・フォー・ストック・カー・オート・レーシングの略称だ。ストックカーとは量産車を指す米語で、1950年代から70年代までは、NASCARは量産車をベースにした改造車両で競技をしていた。
同じ頃、アメリカではTrans-Am(トランザム)というスポーツカーレースがあり、シェルビーのマスタングや、GMワークスチューンのシボレー・カマロなどが熾烈なバトルを繰り広げていた。開催地も西海岸や東海岸の有名ロードコースの全米イベントであり、メディアの露出も多かった。
それに比べて、NASCARはアメリカの南部を中心としたローカルレースというマイナーな存在に過ぎなかった。メインイベントはフロリダ州で行われるデイトナ500だが、伝統のインディ500と比べると、やはりローカルイベントという領域を越えることはできなかった。
そうした状況が1980年代から90年代にかけて大きく変わる。NASCARマシンは、メーカー間での基本構造を共通化し、エンジンは各メーカーの大排気量V8を載せたレーシングカーとなった。
とはいえ、欧州や日本のレーシングカーに比べると、かなり大雑把な作りで、「偉大なるローカルレース」と称さることも多かった。