この記事をまとめると
■スズキ初の普通乗用車セダンを紹介
■当時のコンパクトカーの代表車種「カルタス」をベースにしていた
■欧州などでも販売されていた
スズキ初の普通乗用車セダンは激レア車だった
スズキと言えば軽自動車やコンパクトカーのメーカーという印象が強く、セダンのイメージはほとんどないのではないだろうか? 中には警察車両として一躍有名となったキザシくらいしか脳裏に浮かばない人も多いことだろう。
そんなスズキのセダンの中で、初の普通車4ドアモデルとなったのが1989年6月に登場した「カルタスエスティーム」なのである。
このカルタスエスティーム、2代目カルタスをベースにセダン化したもので、搭載エンジンはカルタスに存在していた1リッター仕様は存在せず、1.3リッターとカルタスには搭載されていなかった1.6リッター(エスクード用に開発されたものを16バルブ化)が設定されており、ややカルタスよりも高級なキャラクターとなっていた。そのため、カルタスに存在していたホットモデルの「GT-i」は設定されていない。
基本はカルタスと同じく前輪駆動で、組み合わされるミッションは3速のATか5速のMT。4WDモデルは最上級グレードとなる「XG」にのみ設定されていたが、ATは用意されずMTのみとなっていた。
また、特別仕様車としてエスティームにのみ「コシノヒロコリミテッド」が存在。
これは1.3リッターモデルをベースに、デザイナーであるコシノヒロコ氏がデザインを手掛けた専用シート表皮が備わり、専用デカールや専用デザインのマスコットキーのほか、タコメーターや上級オーディオなどが備わっていた。
1991年7月にはマイナーチェンジを実施し、税制面で不利となっていた1.6リッターエンジンを1.5リッターエンジンに換装するとともにグレード体系を縮小し、1.3リッターと1.5リッターのみというシンプルなものとなる(4WDモデルは1.5リッターモデルにのみ継続設定)。
そして、1995年にカルタスの上級車種として「カルタスクレセント」が登場。このカルタスクレセントにセダンモデルが設定されていたことで、カルタスエスティームはそのポジションを譲る形で生産を終了。実質的に1世代のみで消滅することとなった。
なお、カルタスエスティームは海外でも販売されており、インドではマルチ・スズキ1000やマルチ・スズキ エスティームとして、欧州地域などではスズキ・スイフトセダンとしても販売されていたので、もしかしたら海外でお目にかかるチャンスがあるかもしれない。