この記事をまとめると
■コロナ禍によって石油製品の安定的需要が見込めなくなり産油国は石油の増産に慎重だ
■産油国は供給を抑えることで原油価格を高止まりさせて収益を維持している
■ハイブリッド車やEVへの乗り換えが自らの暮らしを守ることにつながるかもしれない
石油の消費は減っているが供給も抑えられている
石油の消費はコロナ禍以前から減少傾向にあった。象徴的なのがガソリンスタンド件数の半減だ。1990年代の最多件数から30年ほどで半減した。背景にあるのは、電動化によるハイブリッド車(HV)の普及だけでなく、エンジン車でさえ20%以上の燃費向上が行われ、その分ガソリンの売り上げが減り、ガソリンスタンドの収益を圧迫してきた経緯がある。
市場の50%に及んだ欧州でのディーゼルターボ車の普及も、石油燃料の消費減少に拍車をかけたといえるだろう。
それらによって、製油所の施設なども現状維持や削減が行われ、国内でも競合する石油元売り企業が共同で製油を行ったり、ガソリンスタンドへの配送を共同で行ったりしてきたのも、燃料消費の減少が物語る企業の合理化策だ。
そうした影響は産油国へも波及し、原油採掘施設が現状維持されるようになり、保守管理も手薄となりがちだ。そこにコロナ禍によって大幅な減産が求められることになった。コロナ禍は、変化した種の感染拡大も重なり、経済の回復が一朝一夕には進まなくなって、石油製品の安定的需要が見込めなくなることにより、産油国は増産に慎重にならざるを得ない。