この記事をまとめると
■助手席の足もとによくある”赤い筒”の正体と解説
■発炎筒については保安基準が定められているほか、有効期限もある
■1度燃やすともう使えないが、最近では電池式のモノも存在する
事故や故障時に頼りになる赤い筒の正体とは
法律で定められていてクルマに必ず積んであるのが発炎筒だ。赤い筒で、助手席足もとなどの取り出しやすいところに置いたり、ステーで付けてあって、車検時にもチェックされることもある。ただ、日常的には積んでいないからといって罰則はない。
発炎筒とは正式には「自動車用緊急保安炎筒」で、このことから発煙筒ではなく、発炎筒というのが正しいことがわかる。高速道路の工事や事故処理などで、車線を絞るときに路面に投げられているのも発炎筒で、車載してあるのも同じものだ。発煙ではないとはいえ、けっこう煙が出るし、赤い炎が激しく出ているのを見かけることがある。ちなみに工事などで使用しているのは作業用の発炎筒だが、基本的には同じものだ。
発炎筒については保安基準で「灯光の色、明るさ、備付け場所等に関し告示で定める基準に適合する非常信号用具を備えなければならない」とあるので、激しく炎が出ているのは当たり前なのだが、自分で使うのは少々怖いというのが正直なところだ。JIS規格でその性能は定められていて、燃焼時間は5分以上、赤い炎で、160カンデラ以上。有効期限は4年なので、車検時に点検して切れていたら交換する必要がある。
激しい炎が出るのは火薬を使っているからで、いわば花火と同じ。雨の日でも消えないのは、火薬は燃焼すると酸素を出すからで、それゆえ激しく燃えることができる。ただ、花火と同じと言ってもライターやマッチで火を着ける必要はなくて、キャップを取って、そこに付いている擦り板と本体の先端をこするだけで着火が可能。つまりマッチと同じということだ。
高速道路の路肩に止まるときに三角表示板とともに使用したり、ブラインドコーナーの手前や踏切などでのトラブルでも使うと他車に対して自車の存在をアピールすることができる。紹介したように、けっこう激しく燃えるので、燃えやすいものが近くにあったり、ガソリンが漏れているようなトラブルのときは慎重に使用する。
もちろん1回使ってしまうと破棄して、新品に交換しなくてはならないが、その昔よく車載されていたように、懐中電灯のような専用の信号灯でも代替となる。これなら炎が出ないし、何回も使える。ただ、電池切れだと使えないので、定期的な点検が必要ではある。