この記事をまとめると
■ホンダがオンラインストア“Honda ON”をオープン
■ディーラーはオンライン購入をやりにくいと感じている
■クルマのオンライン購入の行く末について考察する
「お店に来たほうが手間が省けますよ」と案内するケースも
2021年10月4日にホンダがオンラインストア“Honda ON”を“国内自動車メーカー初”としてオープンさせ、再び新車のオンライン購入が話題となっている。しかし「“国内自動車メーカー初”と言うけれど、すでに多くのメーカー系ディーラーで取り組んでいるのでは?」と思われたひともいるはず。Honda ONが登場するまでのオンラインを活用した新車販売は、“オンライン商談”を活用したものになる。オンライン会議システムなどを活用し、画面上とはなるものの、セールスマンと双方向で値引き交渉など、一般的な新車購入に関わる交渉がディーラーのショールームに行かなくてもできるというもの。
一方のHonda ONでは、いまは専用のサブスクリプションサービスのみの展開となってはいるものの、将来は新車購入までをスマートフォンの操作だけで完結することができる、“オンライン販売システム”ということで違いがある。また両者ともオンラインを活用するのだが、その主体がオンライン商談は各メーカー系ディーラーなのに対し、今回のHonda ONはメーカーというところも大きく異なる。
現状ではサブスクリプションサービス(個人向けカーリース)のみということもあるのか、スマートフォンにて必要項目を入力するだけで手続きが完了。納車及び納車後のアフターサービスは、申込者が指定するディーラーにて受けることができる。
ディーラーの反応は、“オンラインの活用”という時点でアレルギー反応のような声を聞くことが多い。ただ、輸入車では比較的好調に推移しているとのことなので、その展開方法や取り組み姿勢などで、反応には多少のバラつきはあるようだ。
まずオンライン商談では、申込者が受付フォームに商談をしたい日時などを指定し、オンライン商談の申し込みをすることから始まる。「新車販売では“鉄は熱いうちに打て”と言われます。お客様の新車の買う気がマックスレベルへ持ち込み、一気に売り込めば契約に結び付きやすいとのことです。オンライン商談でのお客様のマックスレベルは申し込み段階と感じます。しかし、実際の商談は別の日となりますので、その時点では気持ちがクールダウンされており、商談がやりにくそうです」とは現場のセールスマン。
「やりにくそうです」とあったように、実際オンライン商談を行ったことのあるセールスマンは、じつは限定的なのも事実となっている。「下取り査定は実際にクルマを拝見しないとできません。また、商談における値引きアップなどでは、上司決裁を仰がなければならないので、ショールームでも席を外すことが多いです。オンライン商談でも、画面から消えることが多くなるでしょう。実際オンライン商談を行ったことのある同僚に聞くと、最初に『ショールームにきたほうが手間が省けますよ』と説得すれば、たいていは店頭へお客様が足を運んでいただけるとのことです。部分的にオンラインを導入しても、多くはアナログ時代の『お客と膝をつきあわせる』といったノリが残っているので、面倒なものと現場では感じております」(セールスマン)。