この記事をまとめると
■燃費と出力を稼ぐのに欠かせないターボエンジンは1980年代にも流行したことがある
■当時のターボは高回転で唐突にパワーが炸裂するドッカンターボだった
■タイヤとシャーシーの性能がパワーに追いつけず荒々しい印象でそれも魅力だった
ターボらしい過激な加速を魅せるクルマを紹介
エコ系エンジンテクノロジーとしてダウンサイジングターボが提案される以前は、ターボエンジンには荒々しいイメージがあった。スポーティグレードにはターボが欠かせないという1980年代には「ドッカンターボ」などという言葉もよく使われていたものだ。
筆者の理解でいえば、ドッカンターボとは、ターボチャージャーが十分な過給をできるように回るためにエンジン回転数を高める必要があり、そのため唐突にターボパワーをドライバーが感じるようなフィーリングを示す言葉だった。
そこで、1980年代のターボブームから現在のリニアリティに不満のないダウンサイジングターボまでを振り返ってみて、印象に残るドッカンターボのクルマを4台ピックアップしてみた。あくまで筆者の独断と偏見によるものなのであしからず。
1)マツダRX-7(FC3S)
1980年代半ば、クルマ好きの間ではターボとDOHCのどちらが速いかなどと議論になっていた。まだインタークーラー・レスのターボエンジンも多く、いま考えてみるとそれほどパワーの出ていないターボ車も多かった。そんな時代にパワフルなターボエンジンとして印象に残るのはマツダ・サバンナRX-7(FC3S)の13B-T型ロータリーターボだ。
そもそもロータリーエンジンのフィーリングは滑らかで、ターボラグも小さいと思うかもしれないが、ターボによる過給が本格的に効いていない領域がスムースだけに、ターボパワーがさく裂したときのインパクトは大きかった。いま振り返ると205馬力でしかないのだが……。また、当時としてはバランスのいいシャシーだったが、それでもタイヤが205サイズだったこともあってフルパワーをかけるとスリリングな側面を見せるのもターボの荒々しさを実感させたと記憶に残る。
そうした意味でいえば、かつてのドッカンターボという表現はエンジンのキャラクターだけでなくシャシー性能も関係していたといえるかもしれない。ブーストの高まりにより発生したトルクをトラクションにできずタイヤを空転させてしまうことも、荒々しい印象につながった面も否めない。