「おかわりしたい!」と思わせるようなホンダアクセス渾身の1台!
フィットのチューニングコンプリートモデルであるモデューロXが6月に登場した。今回はその実力を一般道から高速道路、そして群馬サイクルスポーツセンターにおけるスポーツ走行まで通じて、その良さをじっくりと体験してみる。
そもそもこのモデューロXというブランドは一貫したコンセプトが貫かれている。2013年に登場したN-BOXを皮切りに、ミニバンからS660まで幅広い車種に展開。いずれに車種に対しても日常域から感じられる実効空力を大切にしてエアロパーツや足まわり、そしてホイールまでトータルプロデュースしていることが特徴的。すなわち、単なるドレスアップで終わることなく、走り込んで煮詰めた味が備わっているところがポイントだ。
それを色濃く表しているのが開発体制で、アドバイザーに土屋圭市さんを迎えて開発陣全員で北海道鷹栖のホンダテストコースや、今回走る和製ニュルブルクリンクと称される群馬サイクルスポーツセンターを走り込みセッティングが行われている。エアロは削っては走り、削り過ぎたとなればまたそこを手直しして再び走るということも行ってきたという。足まわりやホイールに対しても同じようにトライ&エラーを繰り返したというから興味深い。
実車を見てみると、前後バンパーが基準モデルとは明らかに違う形状をしているバンパースポイラーであることが理解できる。車体下部を覗けばエアロスロープやエアロボトムフィンといった拘りの形状が施されている。エアロスロープは跳び箱のようなスロープ形状のものが中央部に備えられており、その中央にはフィンが与えられている。これにより車体中央部に速い空気の流れを生み、直進安定性に寄与するというもの。
エアロボトムフィンは、両サイドのタイヤの前に存在する細かい突起物が連続したものだが、これはホイールハウス内を通る空気の流れをスムースにして、内圧を低減。旋回時に上質なステアフィールを生むという狙いがあるそうだ。
また下部にはエアロフィンをタイヤの前に置き、小舵角時にタイヤが側面へ飛び出した時に、タイヤ周辺に乱流を与えないという考えが盛り込まれている。さらにヘッドライト下の立体感あるラインや、フード先端も空気を跳ね上がるように改められるなど、基準車と見比べるとかなり違うラインを描いている。
一方でリヤ側も専用テールゲートスポイラーとバンパーが備わる。スポイラーは長さや角度を変更。リヤバンパーはコーナーにエッジを効かせて乱流を断ち切るような形状となっているほか、センター下部はディフューザー形状となり車体下部に流れる空気の流速を高めることで安定性を得ようとしているところがポイントだ。基準車は前ばかりが下がり、リヤが低速域から浮き上がって行く傾向だが、モデューロXでは前後のリフト量は高速域までほぼ等しくなったという。
改良されたのは空力だけではない。足まわりは専用のダンパーチューニングが行われている。以前はスプリングもセットで変更するパターンだったが、今回はダンパーだけでどこまで変化が見られるのかが注目だ。フリクションの低減、リニアな減衰特性に拘ったというバルブも見どころ。
また、専用のアルミホイールを採用し、ベースとなるLUXEに対して1本あたり2.9kgもの軽量化を実現したホイールにも注目だ。
このホイールは剛性バランスにも気を配り、ホイールのしなりをコントロールすることで、タイヤの接地面圧を高めているという触れ込みも気になるところだ。