この記事をまとめると
■全国で数千台のFCVのために高圧ガス保安監督者を常に店に詰めさせておくことは難しい
■水素の充填にはその前に充填タンクよりも高い圧力に水素を圧縮せねばならない
■充填されなかった圧縮水素を貯めておく方法がなく無駄に捨てることになる
いつくるか分からないFCVのために24時間体制は敷けない
高速道路のサービスエリア(SA)などに水素ステーションを設置できないのは、法規などの問題というより、設置できない状況があるからではないか。
高速道路のガソリンスタンドは、いつ何時でも給油したいクルマがあれば対応しなければならない。24時間365日営業していることが基本だ。燃料がなく停止してしまうことになれば、高速からの事故につながりかねず、路肩などに停止してしまうクルマが増えれば、事故にならないまでも危険性が高まる。そこで、水素ステーションが営業していなかったということがあってはならない。
一方、まだ普及台数が2019年3月段階で3000台強しかない燃料電池車(FCV)が、いつ水素を充填しに来るかは予測が立たない。それでも、水素スタンドを開くのであれば高圧ガス保安監督者が店に詰めていなければならず、しかも先にも話したように高速道路であれば24時間体制だ。それだけの人件費が掛る。
FCVの普及が進まない段階で水素ステーションを開設すれば、そのための水素の運搬も計画が立てにくい。水素は、水素ステーションでは80MPa(メガパスカル=約800気圧)に高めないと、車載の70MPaの水素タンクに充填することができない。しかしながら、水素はもっとも小さく軽い元素なので、長期間貯めておくことができないので、必要な時に圧縮して圧力を高めることになる。それでも、比較的安定的に水素充填に訪れるFCVが見込まれれば、あらかじめ圧縮した高圧水素ガスを短期間貯めて置き、FCVがきたらすぐに充填すれば、5分前後で充填を終えられるだろう。