リコールではなくてもデータ改ざんしたことは問われるべきだ
2017年に経営破綻したタカタの事業を概ね引き継いだジョイソン・セイフティ・システムズが、シートベルトの試験結果を改ざんした問題で、改めて製品を検査し、また自動車メーカーによる衝突実験結果なども照合しながら、規格を満たしていることを確認したとして、リコールなどの措置は取らないことになった。
改ざんが行われた原因は、試験方法が適切でなかったということである。しかし、改ざんする前に、試験が適切に実行されていたかを社内で確認することなく、改ざんという手法で逃れようとした企業姿勢は問われるべきだ。
この一件は、ジョイソン・セイフティ・システムズという一社が追求される問題ではなく、いわゆる「日本のものづくり」の根幹を揺るがす出来事といえる。なぜなら、記憶に残る範囲で過去を辿ってみても、リコール隠し、燃費性能の改ざん、完成車検査問題、そしてエアバッグのリコールなど、自動車業界への不信を抱かせる不祥事が後を絶たないからだ。
加えて、昨今の三菱電機での検査不正問題や、みずほ銀行の現金自動預け払い機(ATM)およびインターネット障害など、業界を超えた不祥事が国内では相次ぎ、しかも時間を置かず再発するなど、企業の不祥事は枚挙に暇がない。
それらの根幹にあるのは、自信過剰による慢心だ。そして企業風土は、経営者が交代しても一朝一夕には改められない体質が社内に根を張っていることも示している。