【試乗】次元の高さを見せつけられた! 新型アウディA3の「偉大なるベーシック」と「スポーツカーばり」のS3 (1/2ページ)

8年待った甲斐があった! 熟成された伝統の1台

 8年ぶりにフルモデルチェンジされるアウディA3は、今回で第4世代に突入することになる。初代はプレミアムブランド初のコンパクトハッチバックとして1996年に登場。日本に導入されたのはその翌年の1997年のことだった。果たしてこのジャンルのパイオニアはどんな仕上がりをみせてくれるのだろうか? まずはハイパフォーマンスグレードのS3 Sportbackから試乗を開始する。

「S」の名に恥じない武闘派モデル!

 低くワイドなハニカムグリル、ヘッドライトから真っ直ぐに伸びたショルダーライン、そしてクアトロをイメージしたブリスターフェンダーなど、シャープさとボリューム感溢れるエクステリアは、明らかにA3の後継モデルであることがひと目で感じられつつ、けれども次世代に突入したことを明らかに示している。

 とくに驚いたのはサイドビューで、ドア周りの彫刻的な凹面が際立っており、そのおかげでブリスターフェンダーが際立つ感覚があったのだ。写真でどこまで伝わるかが心配だが、メリハリある立体的なラインはなかなかだ。

 ドライバーズシートに腰かければ、明らかにドライバーオリエンテッドで作られた空間が心地よい。S3には12.3インチのバーチャルコクピットプラスが与えられている。

 ステアリングは先代のDシェイプから改められ一般的な丸形となった。“らしさ”は薄れたのかもしれないが、実用性を考えれば個人的にはコチラのほうが好み。ロックtoロックはおよそ2回転。低速で動いている段階からややクイックな感覚がある。

 走り始めればやはり豪快さが際立つ。2リッター直4ターボ+7速Sトロニックが生み出す加速は、低回転からグッと前に押し出す感覚に溢れている。最大出力228kW(310馬力)/5450-6500rpm、最大トルク400N・m(40.8kg-m)/2000-5450rpmのスペックはダテじゃない。もちろん下だけでなく高回転の伸び感も備えていた。

 それを上まわるのがシャシー性能の高さだ。アウディ自慢のクアトロシステム、そしてリヤサスはベースモデルとは違ってウイッシュボーン式となることなど、ハイスペックなエンジンパワーを余すことなく伝えることに長けている。この車両にはダンピングコントロールサスペンションが装着されており、それをスポーツモードにするとワインディングではスポーツカーのようにリニアな動きを展開してくれる。

 シャープなだけでなく、ステアリングの微操舵から大舵角まで一定したクセのないフィーリングは、ドライバーとクルマとの対話性がかなり際立つ感覚があった。一方でモードを変えれば街中ではしなやかな乗り味にも変更することが可能。235/35R19サイズを前後に装着していたにも関わらず、それをきちんと履きこなしていたのだ。

 それはリヤシートに腰かけても感じられるもの。これなら同乗者からも不満が出ることはないだろう。ちなみにフロントシートもリヤシートもホールド性はなかなか。

 リヤはやや背もたれの角度が立った感覚があり、決してリラックスできるというスペースではないが、これならワインディングをハイペースで走られてもドライバーを恨むようなことにはならないだろう。


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