クルマ好き憧れの「GT」や「R」! 「走り系の証」じゃないクルマにも結構あった (1/2ページ)

「GT」や「R」は憧れの象徴だった

「名ばかりのGT達は、道を開ける」。こんな刺激的で、挑発的なキャッチコピーが日本車で使われた時代があった。そのキャッチコピーを掲げたのはトヨタ・セリカで、”名ばかりのGT”と揶揄されたのは当時の日産スカイラインだった。

GT-Rを失った当時のスカイラインにおけるGTというのはL20というSOHCの直列6気筒エンジンを積んでいるグレードという意味であって、けっしてグランツーリスモという言葉からイメージさせるようなハイパフォーマンスは有していなかった。そこを、DOHCエンジンを与えられたトヨタ・セリカが挑発したのだ。

しかし、そんなセリカも時を経て、クルマ好きから「なんちゃってGTR」と呼ばれることになる。それが1985年にFFへと大フルモデルチェンジを果たしたセリカだ。このモデルには2リッターDOHCエンジンを積んだ「GT-R」というグレードが存在していたが、その最高出力は160馬力でしかなかった。

1980年代のNAエンジンとしては優秀なスペックではあるが、ライバルであるスカイラインは2リッターDOHCターボで200馬力を超えることになるし、セリカでもWRCに参戦することになるトップグレードのGT-FOURは2リッターターボエンジンを積んでいた。そんなことからセリカGT-Rは、勇ましいグレード名ほどのパフォーマンスではないという印象が強くなっていった。

では、ライバル・スカイラインにスキはなかったのかといえば、そうでもない。1980年代にフルモデルチェンジしたR31型、R32型とも6気筒エンジンのベーシックグレードには相変わらず「GT」というグレード名が与えられていた。そのエンジンは相変わらず直列6気筒であるが、SOHCの実用ユニット。最高出力はR32スカイラインで125馬力と平凡なものであった。

ちなみに、R32スカイラインでいえば同じ直列6気筒でもDOHCになるとGTSというグレード名になり、DOHCターボになるとGTS-tというグレード名になった。そして、最強グレードが2.6リッターツインターボエンジンを積む「GT-R」であったのはご存じのとおり。

スカイラインのグレード名にとってGTというのは単に6気筒エンジンを積んでいるという意味でしかなかったのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

新着情報