不遇のきっかけになったのは2018年のマイナーチェンジだ
国産ミニバン最高峰、“大空間サルーン”のトヨタ・アルファード&ヴェルファイアの販売戦線に異変が起こっている。なにしろ、中身はいっしょのはずの兄弟車である、かつてはアルファードをしのぐ売れ行きだったヴェルファイアがグレード整理され、GOLDEN EYES IIのHV、GASのFFと4WDの3モデルのみ(424~508.84万円)になっているのだ。ちなみにアルファードは、ガソリン8モデル、HV7モデル、特別仕様車S”TYPE GOLD II 2WD/4WDの合計17モデルもあるというのに、である(359.7万円から)。いったい、どうしたんだ、ヴェルファイア!!
そもそもとして、アルファードの超人気ぶりは周知のとおりで、国産乗用車販売ランキングで、直近の2021年4月の販売台数は7576台、前年同月比132%で、ヤリス、ルーミー、カローラ、ライズに次ぐ堂々の5位。2020年4月~2021年3月期の販売台数は10万6579台で前年比157.1%!! を記録し、乗用車販売台数ランキングでは堂々の4位につけている、ちょっと異常なまでの人気、売れ行きなのである。
一方、ヴェルファイアの販売台数は、2021年3月で1183台、前年同月比43.5%、乗用車販売台数では49位と、まったく振るわない。明らかに、ヴェルファイアは風前の灯火状態にあり、それが上記のグレード整理につながったと考えていいだろう。
しかし、かつてのヴェルファイアの勢い(2017年ごろまではアルファードよりヴェルファイアのほうが売れていた)を知る身としては、寂しいかぎり。そこで、何故ここ最近、アルファードがバカ売れしているのに対して、ヴェルファイアが落ち込んだのかを検証してみたい。
まず、そのきっかけとなったと思われるのが、2018年1月のマイナーチェンジだろう。そこでは第二世代のトヨタ・セーフティセンスを全車に標準装備し、新パワーユニットとして国内初採用のガソリン車のトップグレードに積まれる3.5リッターV6、301馬力、36.8kg-mユニットが追加されるとともに、エクステリアでは顔つきを大きく変えているのが特徴だった。
とくにアルファードの顔つきの変化幅はヴェルファイアより大きく、立体表現を強めたよりダイナミックでアグレッシブな表情となって、むしろそれまでとは逆に、アルファードのほうが威風堂々としたルックスになったのである。もちろん評判は高く、アルファード人気にさらに拍車がかかったことは間違いない。言い方を変えれば、依然、流行りのオラオラ顔も、時代によって、受け入れられるデザイン、オラオラ感の度合いが違ってくるということかも知れない。