2020年に生産を終了し後継車は存在しない
見るからに前衛的なスタイリングのスーパーカー。なのに、リヤミッドシップエンジン、排気量は1.5リッターで、前後車輪軸にモーターを持つプラグインハイブリッド車。パワーウエイトレシオへの対応は、アルミ合金を用いてボディの軽量化を狙った。
言うなれば、スーパーエコカーである、BMW i8は2020年を持って生産が終了し、後継車は現状では存在しない。なぜ、i8は1世代だけで終わってしまったのか?
その理由について考えるために、時計の針を少し戻そう。時は2000年代後半、BMWは次世代電動車に関して世界各地でさまざまなリサーチを行っていた。そのなかで、こんな話がある。
米西海岸の有名大学で、EV関連ベンチャーの経営者がEVに関する講演を行った。講演後、「BMW USAの関係者が声をかけてきた」(同ベンチャー経営者)という。さらに「その数カ月後、まさか私がミュンヘン(BMW本社)で契約書にサインをしているとはまったく想像できなかった」(同)という。
こうした生まれたのが、「MINI E」である。BMWは70年代からさまざまなEV試作車を自社開発してきたが、2000年代に新たに立ち上げたEV関連チームとしては、米ベンチャーの力を借りて、早期に実証向けの車両が必要だという見解だった。このチーム、BMW社内では「プロジェクトi」と称した。