芸術か? イロモノか? 存在したのがウソみたいな「強烈個性」の絶版車4選 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■すべてのクルマは売れる見込みがあるから商品化されている

■だが個性的すぎて目論見が外れて一部のマニア以外にウケなかったクルマもある

■そのなかでも一代で消えてしまったモデル4台を紹介する

前席3人掛けの超個性的なモデルが国内外で登場した

 クルマを開発するときに「これは売れない」、「これはカッコ悪い」と思っているエンジニアや関係者はいない。結果的に売れなかったとしても、それは作り手がニーズを見誤っただけといえる。逆に言えば、ターゲットとしたユーザー数が想定した規模であれば、そのクルマはヒットしたはずだ。

 そんなことを考えてしまうのは、どうにも理解できないほど個性的で一代限りで終わってしまったモデルが過去に存在しているから。というわけで、独断と偏見で超個性的かつ後継モデルが生まれなかった4台のモデルをピックアップしてみよう。

1)フィアット・ムルティプラ

 いの一番に思い浮かぶのは「世界一醜いクルマ」とまで呼ばれた奇抜なスタイリングが特徴的なフィアット・ムルティプラ。とくに1998年のデビューから2004年のマイナーチェンジで顔が変わる以前に販売された前期型は、なんとも表現が難しいルックスだった。

 2020年代であっても、Aピラーの根本あたりにハイビーム用ヘッドライトを配するというアイディアは理解しがたく、なんとも落ち着かないモゾモゾするような顔つきはいまだに一線級のユニークさ。しかも、20世紀にして全幅1870mmに対して全長4m足らずというシルエットはあまりにも個性的としかいえなかった。

 もっとも、そうしたディメンジョンを選んだのはムルティプラが前後とも3人掛けの6名乗車というユニークなパッケージを選んだためであり、そこには商品企画としての必然性があったのは間違いない。しかも、シートはすべて独立していたというのもユニークだったが、2列目を独立した3座とすることは、いまでも欧州製ミニバンなどでよく見られるところで、考え方としてはいまでも通用するアイディアといえる。

2)ホンダ・エディックス

 さて、そんなムルティプラにインスパイアされたのか、日本でも3+3レイアウトのユニークなミニバンが登場した。それが「3×2」をキーワードに開発されたホンダ・エディックスだ。同じく独立した6つのシートがキャビンに配されていた。

 こちらのデビューは2004年。ボディサイズは全長4285mm・全幅1795mmと当時の日本車としては、やはりワイドなボディとなっていた。エンジンは1.7リッターのSOHC VTEC 4気筒と、2.0リッターのDOHC VTEC「K20A」エンジンの2種類を搭載。後者のポテンシャルはかなりのもので、その性能を引き出すためにワイドトレッドによるコーナリング性能が効いてくるというのも商品企画での狙いのひとつ。

 またセンターシートがロングスライドすることでV字のシートアレンジができるというのも特徴で、前後を区切らずにコミュニケーションがとれる空間を目指したのもユニークなポイント。

 家族とコミュニケーションが取れて、ハンドリングも楽しめるとなれば、当時はミニバンとなると運転手を担うことが多いお父さん向けの商品企画としてはもっと評価されてしかるべきだったが、実際にはそうしたユーザー層はそれほど存在しなかったのだろう。エディックスは2009年には生産終了となり、後継モデルも生まれなかった。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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菅麻貴子(作詞家)

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