デジタルメーターは今や高額、高コストのものではない
走行する自動車のいろいろな状態を、情報としてドライバーに伝えてくれるのが各種メーターだ。現在は、IT技術の進歩により、デジタルメーターも当たり前の存在となっているが、これまでのように針を振らせるアナログメーターを支持するユーザーも少なくない。ドライバーにとって優れたメーターとはアナログなのか、デジタルなのか、この点について考えてみたいと思う。
まず、最初に確認しておきたいことは、アナログ式とデジタル式の識別だ。というのは、現在は、液晶パネルを使って針式(つまりアナログ方式)の表示を行うメーターがあるからだ。アナログメーターを正確に定義するなら、速度やエンジン回転数、各種温度の計測/表示を、機械的に動く指針式のメーターを使って行う方式と見なしてよいだろう。こうした意味では、電気的に各種情報を検知・計測し、それをデジタル信号でメーターに送り、デジタル信号対応パネル(いわゆる液晶パネル)で表示する方法は、表示方法(数字または指針式メーター描画)のいかんを問わず、デジタルメーターということになる。
というわけで、メーターに関してアナログかデジタルかを論議する場合、システムの方式でアナログとデジタルと分けるのか、表示方法でアナログとデジタルと分けるのか、ふたつの視点が存在することに注意したい。ここでは、双方の利点に留意しながら話を進めていくことにしよう。
さて、普及の度合いを深めているデジタル方式のメーターだが、その根底にあるのは実用コストの引き下げだ。かつては高額だった電子デバイスだが、IT技術の進歩や幅広く実用化が進んだことにより、システムコストの引き下げは日進月歩で行われ、もはや自動車のデジタルメーターは、決して高額、高コストのシステムとは言えない状況にある。
もっとも、普及価格帯の車両、あるいはベースグレードの車両に目を向けると、機械式のアナログメーターを採用するモデルも多く、デジタル方式が値ごなれしたとは言うものの、まだアナログ方式のほうが低コストと言えるのだろう。
ただ、ベーシックなモデルに着目すると、表示情報は必要最小限に絞られたものであることがわかる。速度計、走行距離計、水温計、燃料計といったあたりで、この4つの表示機能があれば、実用上、必要十分ということになる。逆に、液晶パネルを使うデジタルメーターは、各種情報の検出にセンサーを用い、それらをコンピュータに送って一元管理すると同時に、表示情報をメーターパネルに送って描画することでシステムを成立させている。言い替えれば、表示したい情報が多くなるほど、ひとつあたりの表示機能は割安になっていくことになる。