かつてはランエボ・インプ! いまはヤリス! 時代と共に移り変わる百花繚乱「WRC」の主力マシン (1/2ページ)

WRカー規定は年を追うごとに改良されていった

 WRCを争う主力モデルはレギュレーションによって変化するものだ。たとえば1987年に幕を開けたグループA規定の時代は、改造範囲が制限されたほか、年間の生産義務も5000台以上、93年からは2500台に緩和されたとはいえ、厳しい条件がホモロゲーションの取得に課せられていたことから、自動車メーカーはWRCに参戦するために量産車の段階から抜群のパフォーマンスをもつマシンをリリースしていた。

 具体的にはランチアがデルタを投入するほか、それに対抗すべく、日本メーカーもトヨタがセリカGT-Four、スバルがレガシィおよびインプレッサ、三菱がギャランおよびランサーエボリューションなどターボエンジンを搭載した4WDモデルを投入。なかでも、スバルのインプレッサと三菱のランサーエボリューションは次々に年次改良をおこない、マシンを進化させることことで黄金期を築いたことはご存じのことだろう。

 とはいえ、グループA規定は前述のとおり、改造範囲が狭く、生産実績など車両公認の取得条件が厳しいことから、ヨーロッパのメーカーが相次いで活動を休止したことも事実である。そこでFIAは自動車メーカーの参戦を促すべく、グループAに代わる新たな車両規定として1997年にWRカー規定を導入した。

 WRカーは年間2万5000台以上の生産モデルの派生車であれば、2500台以上の生産実績で公認取得が可能となっており、加えて大幅な改造が認められたことから、特殊なスポーツモデルを持たないメーカーも相次いでWRCに復帰。スバル・インプレッサ、三菱ランサー、スズキ・SX4などの日本勢のほか、シトロエンがクサラやC4、プジョーが208や307を投入したほか、フォードがフォーカス、シュコダがオクタビアを投入していた。

 2011年にはWRカー規定が変更され、エンジン排気量が2000ccから1600ccに縮小されたほか、全長も4000mmから3900mmに短縮されたことで、各メーカーは主力モデルを従来のCセグメント車両からBセグメントのコンパクトハッチに変更した。シトロエンがDS3、フォードがフィエスタにスイッチしたほか、MINIがMINIジョンクーパーワークス、2013年にはフォルクスワーゲンがポロR、2014年にはヒュンダイがi20で新規参戦を開始していた。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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スバル・フォレスター
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