クルマの進化とともに流行り廃りあり! 時代を彩ったボディ形状の変遷をたどる (1/2ページ)

セダンやステーションワゴンブームも長くは続かなかった

 クルマにはヒットモデルというのがあるが、ジャンルでもブームというか、売れているカテゴリーが時代によってあるし、それは移り変わっていくものだ。日本の場合は、長らくセダンがクルマの基本とされ、1990年代に入るとワゴンブームが到来したが、その流れにはそれぞれ理由がある。今回はジャンルの隆盛について振り返ってみよう。

 まず今でも年配の方が口にするのが、「セダンは基本」という言葉。実際にセダンに乗っているのをよく見かけるし、クラウンのオーナー平均年齢は70歳を突破したということからも、その昔はやはり基本だったということがわかる。理由としては日本の場合、自動車産業の歴史が浅いことから、オーソドックスなセダンを作るのをまず優先したというのがあるし、マイカーが憧れの時代には社会全体の意識としてもまずはきっちりと家族で乗れるセダンを買う、もしくは買いたいというのがあったように思う。さらに今に比べれば運転上手も多くて、ファミリーカーで走りにこだわるとなるとセダン一択だった。

 セダンに対して、ワゴンブームの口火を切ったのは1989年に登場したスバルのレガシィで、日本初のワゴン専用設計として完成度が高く、ヨーロッパ車的なロングツーリングイメージをうまくアピールしてヒット。トヨタ・カルディナ、日産アベニールが三つ巴で、さらにマツダ・カペラカーゴや三菱リベロなど、各メーカーが魅力あるモデルを投入した。

 このあたりからセダンが下火になっていくのだが、専用設計だけに走りはセダン同等で不満はなく、ルックスも真正面から見ればセダンと一緒。家族全員が乗って荷物もたくさん積めるという新しい価値観が目の前に提示されれば、そちらにいくのも当然だった。ちなみにそれまでもワゴンはあったが、商用バンの乗用登録というもので、ワゴン専用ではなく、家のクルマとして選ぶということはほとんどなかった。

 ただし、ステーションワゴンブームも長くは続かず、代わってミニバンが台頭してくる。レガシィのようにエポックなモデルがあったわけではないが、キーポイントとなるのは「1ボックスからの脱却」だろう。1ボックスベースだと、エンジンが床下にあるなど、やはり商用車臭さが出てしまうところに、1994年の初代ホンダ・オデッセイのように乗用車ライクな乗り心地と運転フィールを実現したミニバンが登場したとなると、ヒットとなるのも当然ではあった。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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