プログレの代替車としての役割に失敗!
もはや登場したころのような特別感はなく、すっかり日常に溶け込んだ形となったハイブリッド車。今ではさまざまな車種の1グレードとしてハイブリッドモデルがラインアップされているといった状態であるが、意外と少ないのが「ハイブリッド専売車」である。
ハイブリッド専売車の代表格として挙げられるのはトヨタのプリウスであるが、トヨタのハイブリッド専売車第2弾として登場したのが、2009年にデビューしたSAIである。
SAIは5か月ほど先行してデビューしていたレクサスHSの実質的な兄弟車であり、トヨタのアッパーミドルクラスを担うハイブリッド専売車として大きな期待をもって送り込まれたモデルとなっていた。なぜならこの段階ではカムリはガソリン車のみのラインアップであり、ハイブリッドのセダンとなるとクラウンまでクラスアップしなければならなかったからだ。
そんなSAIに搭載されるパワートレインは、同時期のプリウスなどにも採用されていたTHS IIに、プリウスよりも大排気量となる2.4リッター直列4気筒エンジンを組み合わせたもので、車格に応じた余裕のあるものとなっていた。
じつはこのSAI、“小さな高級車”というキャッチコピーで、いまでも一部に固定ファンを持つプログレの開発主査を務めた人物が関係しており、プログレユーザーの代替車という側面も持ち合わせていたのだ。
しかし、実際にプログレユーザーにアプローチしたところ、ミドルクラスとはいえプログレよりもサイズアップしたボディと、FFレイアウトとなったことで小回り性能が低下したことで代替に難色を示すユーザーが多かったのだ。
もともとプログレは年配のユーザーが多く、自宅の車庫なども当時の車両サイズで作られているため、わずかなボディサイズの拡大や切れ角の減少で、車庫に入れるための苦労が格段にアップしてしまう。そういった理由もあって未だにプログレを愛用しているユーザーが少なくないのだそうだ。
結局SAIはプログレユーザーの心を掴むことができず、2013年にはそれまでのイメージを一変するビッグマイナーチェンジを実施したが、残念ながら新規ユーザーを獲得することは叶わず、2017年に販売を終了。
兄弟車関係にあったレクサスHSも同じタイミングで姿を消してしまった。