もっとも大きな課題は自動車メーカーと販売店との関係性
最近あまり聞かなくなった表現だが、たとえばグレードの廉価版などで受注生産モデルという考え方をする場合がある。この受注生産モデルという表現は、メーカーごとの発注方法などによって、その定義は違うと思うので、あくまでも一般論として話を進める。
そもそも、自動車は顧客と販売店が売買契約を結び、それに伴い販売店がメーカーに発注するのだから、新車は基本的にすべてが受注生産だといえる。
この生産というのは、自動車メーカーの最終組立て工程を指す。一般的な最終組立て工場は、ボディのプレス、ボディの溶接、塗装、そして組立てラインという構成で編成されており、エンジンやトランスミッションは自動車メーカーの別工場で製造される場合が多い。
そのほか、サスペンション、シート、電装品、ガラス、タイヤ・ホイールなど、各種の部品はサプライヤーと呼ばれる部品メーカーからトラック輸送を主体として最終組立て工場に納入される。
つまり、メーカーとしては、さまざまな部品の計画的な納入を目指し、新車の製造数の過度な増減を避けて、安定した台数をコンスタントに製造することを理想としている。
また、ここで改めて確認しておきたいのが、メーカーと販売店の関係性だ。自動車メーカーとは、その名の通り製造者であり、かつ卸売り業者でもある。一方の販売店は、メーカーから新車を仕入れ、それをユーザーに販売するという立場にある。販売店にはメーカーの資本が入っている場合や、地場での独立系など、国や地域によって販売店の形態や事業規模は違う。
こうしたなかで、メーカーは安定した製造体制を維持するため、販売店に対して販売見込み台数を求めることがある。そうした求めに応じて販売店は見込み台数をメーカーに伝える、または販売店が積極的に自ら見込み数をメーカーに出すこともあり得る。