日常の買い物ほどの短距離走行では電気だけの走行が可能だ
これからのクルマの主役は電動車であることは間違いない。誤解してほしくないのは、電動車とは、100%電気で(モーターで)走るピュアEVだけを指すのではない。軽自動車にも採用されている電気を補助的に使うマイルドハイブリッド、プリウスに代表される2モーターのストロングハイブリッド、そして日産e-POWERのような、駆動はモーター、搭載するエンジンは基本的に発電を担うシリーズ式HV、さらにHVとピュアEVの中間に位置するPHV(プラグインハイブリッド/PHEV)がそろう。
ここではピュアEVに次ぐ、本格的な電動車としてトヨタ、三菱、そして全車の電動化を完了したボルボなどの輸入車も採用するPHV(PHEV)の各車を比較してみたいと思う。
そもそもPHV(PHEV)とは、外部充電によって電気を蓄えられるHV車ということになる。HVは外部からの充電ができないのだが、それができるHV車であり、ピュアEVに近い電動車ということもできる。
ピュアEVのなかにはテスラのように500km以上の航続距離を大容量バッテリーによって実現し、たとえば東京~軽井沢間の往復約350kmを、フル充電で出発すれば、ドライブ途中、無充電でこなすことができるクルマがある。一方、PHV(PHEV)が電気だけで走れる距離は、トヨタRAV4 PHVでWLTCモード95km(実質約65〜70km)、三菱アウトランダーPHEV同65km(実質約45〜48km)、三菱エクリプスクロスPHEV同57.3km(実質約40〜43km)と、国産ピュアEVの代表格でもある日産リーフのロングレンジ版e+の同458km(実質約320km前後)と比べ、短い。
とはいえ、PHV(PHEV)でも日常の買い物程度では、電気だけの走行が可能だろうし、そもそも、バッテリーの発電も兼ねるエンジンを積んでいるため、電欠の心配がない……という安心感、使い勝手に、ピュアEVにないメリットがある。
また、チャージモードやホールドモードといった、走行しながら電気をためるモード、電気を温存するモードを備えたPHV(PHEV)もあり、たとえば、高速ICから観光スポットに向かう街道沿いに充電スポットが点在する那須高原に行くとして、高速道路上で電気をため、ICを下りる時点でほぼフル充電状態にしておけば、那須高原のきれいな空気を汚さずに、モーター走行で目的地に着くことができる。その場合、目的地にもよるが、モーターだけで走れる距離が40kmぐらいでも十分ではないだろうか。