需要が低いため在庫となるリスクが高く売却額も安価になりやすい
クルマの買い替えや手放すときの売却額は、当然ながら高いほど嬉しいというのは共通認識だろう。しかし、同じようなジャンルの同じような状態の車両であっても、車種によって売却額に大きな違いがあることも珍しくない。
そのなかでもとくに買取価格に差が出やすいといわれているのが輸入車だろう。車種によっては登録しただけで数百万円価値が下がる、などと揶揄されるモデルも存在しているほどだ。
しかし、その一方で価格の下がらないモデルも存在しており、売却額のばらつきは国産車の比ではないというのが正直なところ。では、なぜ輸入車の売却額にはばらつきが多いのだろうか?
そもそも輸入車の買い取り額が低くなる原因として挙げられるのが、国産車の同クラスの車種に比べて需要が低いという点だろう。たとえばコンパクトなハッチバックとしては非常に評価の高いフォルクスワーゲン・ポロであるが、そこまでクルマにこだわりのないユーザーにとっては、走りの質感の高さよりも日常の使い勝手や価格の安さが大きなベクトルを占めてくる。
また輸入車と聞くとまだまだ故障が多いイメージや、メンテナンス費用がかさむイメージが強いこともあって、ただの移動の手段として考えるのであれば、多くのマニアでないユーザーは燃費の良いトヨタ・アクアや価格が安いトヨタ・ヴィッツなどに流れてしまう。
となると需要の低い輸入車のコンパクトカーは必然的に在庫となるリスクが高く、車両価格から考えるとかなり安い売却額になってしまうことが多いというワケだ。
ちなみにコンパクトカーを例に挙げたが、これは同じくそこまでマニアックなユーザーが多くない実用車(セダンやステーションワゴンなど)の輸入車全般にいえることである。
一方、売却額が高くなる輸入車として挙げられるのは、ルノー・カングーのような国産車に近しいライバルがいないモデルや、スポーツモデルが中心となる。
これらは当然ながらライバル車種が少なかったり、その車種にファンが多かったりするモデルということで需要が高いため、売却額も高くなるということになる。
つまり、“輸入車“という響きが持つネガティブなイメージよりも車両の魅力が上まわっているモデルは高値が付くということで、結局は国産車、輸入車問わず、人気のあるモデルは高く、人気の薄いモデルは安くなるという当然の結果でありながら、その振り幅が輸入車の方がより顕著なため、輸入車の売却額にばらつきが大きく感じる、というのが真相といえるだろう。