純ガソリンエンジン車オーナーは維持が難しくなる!?
日本政府として2050年のカーボンニュートラルを目指すという方針を打ち出している現政権ですが、それを先取りするかのように東京都の小池百合子知事が、2030年に東京におけるガソリンエンジンの“乗用車”販売を禁止すると発言したことが大きな話題となっています。
といっても、ひと足飛びに新車販売のすべてをBEV(電気自動車)にしようという話ではありません。あくまで純ガソリンエンジンを禁止にしようという話であって、HEV(ハイブリッド車)については認める方針のようです。どのレベルのハイブリッドまでと認めるのかという問題もありますが、大筋では自動車業界の電動化トレンドに則った内容であって、それほど過激な発言ではないともいえます。
ガソリンエンジン車の販売禁止というインパクトをもって、自動車販売店やユーザーが困るという話もありますが、少なくとも新車についていえば、すでにHEVが主流となっていますし、さほど変わることはないでしょう。もちろん個別のケースでいえば、ほとんどHEVを持っていないスバルは悪影響を受ける可能性はありますし、軽自動車ではマイルドハイブリッドを広く用意しているスズキのひとり勝ちになることは考えられます。
加えて、ガソリンエンジン車のリセールバリューは一気に下がる可能性大ですから、現時点でガソリンエンジン車を所有していて、数年後に下取りして買い替えるというライフプランを立てているオーナーにとっては多少の影響はありそうです。
そもそも、東京都がガソリンエンジン車の新車販売を禁止するという法的拘束力があるのかというのも疑問があります。たしかに条例を作ることはできるでしょうが、法令や憲法に違反する条例は制定できないとなっています。売買の自由というのは資本主義において非常に重要なものであり、それを条例で規制するというのは問題があるともいえます。ですから単純にガソリンエンジン車販売を禁ずるというのは実行が難しいといえるでしょう。
たしかにナンバープレートの発行や自動車税(都道府県税)については東京都の管轄。そうした領域での運用によってガソリンエンジン車を排除しようとする意志を見せることはできるかもしれませんが、それも法令違反の運用は難しく、あくまでも掛け声レベルにとどまるという見方もできます。
ただし、ガソリンエンジン車の販売を禁じなくとも、東京都のトップがこのように宣言することは実質的なガソリンエンジン車の減少には繋がるでしょう。すでにHEVや省燃費車の流行により、ガソリン販売量は減っていますし、都内でガソリンスタンドというビジネスを続けていくことは難しい状況になっています。