普通のものを使用するとどうなる? アイドリングストップ車の高額な「専用バッテリー」の中身とは (1/2ページ)

アイドリングストップ車はセルモーターの消費電力が大きい

 排出ガスに含まれる二酸化炭素の削減が、いまや世界中の自動車メーカーの大命題となっている。こうした二酸化炭素削減策のひとつとして広く普及したのが「アイドリングストップ」のシステムだ。車両が停止するたびエンジンの運転(アイドリング)を止めれば、その間の排出ガスをゼロにでき、当然ながら二酸化炭素もゼロにできるという考え方だ。

 しかし、アイドリングストップ車は、車両が止まるたびにエンジンを再始動させなければならない。これがけっこうやっかいな問題で、エンジンを始動させるセルモーターの消費電力が相当に大きいのだ。

 一般的な例となるが、セルモーターを回す電流量は、平均で120A程度、瞬間最大時には300A前後が要求されるからだ。たとえばエアコンのブロワファンやヘッドライトなど、他の電装品がおしなべて10Aに満たない電流量であることを考えれば、セルモーターの消費電流がケタ外れで大きいことが分かる。

 問題となるのは、セルモーターを回す電力源だ。現在の自動車は、鉛と希硫酸の化学反応による鉛酸電池、つまりバッテリー(乗用車は12V規格がほとんど)を電力源として使っているが、頻繁な大電力の取り出し、つまりセルモーターの多数回使用は、バッテリーに対して大きな負荷を与えることになる。


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