新世代の電動車を楽しみたいひとに最適な存在となった
新型ノートは、動力をe-POWERひとつに絞り込み、ガソリンエンジン車の設定はない。これについて、国内営業を担当する星野朝子副社長は、「日産はゼロエミッションをリードしていくという会社のビジョンがあり、電動化に集中する。その象徴が新型ノートであり、これを成功させて、低炭素社会に貢献していく」と抱負を述べた。
しかしそれによって、ノートはガソリンエンジン車を持つトヨタ・ヤリスやホンダ・フィットと比べ、廉価車種の車両価格で50~60万円ほど高値となる。安さという点では、大きな開きが生じるが、これについて開発者は、「ガソリンエンジン車を設けると、法人営業などの需要のため価格競争に陥り、第2世代へ進化したe-POWERの商品性を活かしきれないクルマとなりかねない」と話した。つまり、価格勝負となる廉価な車種に合わせて設計すれば、上級車種であるe-POWER搭載車の性能や品質を存分に活かしきれない不都合が生じるというわけだ。
そこでハイブリッド車(HV)同士での車両価格を比較すると、ヤリスやフィットのHVとの価格差は、5~6万円でしかない。それでも新型ノートの方が割高ではあるが、e-POWERはシリーズ式ハイブリッドで、モーターのみの駆動であることにより、e-POWERドライブと呼ばれるアクセルのワンペダル操作ができる。第2世代となったe-POWERはガソリンエンジンでの発電をできるだけ少なく、かつ乗員がエンジン始動を意識しにくい制御を採り入れたことにより、あたかも電気自動車(EV)のような走行感覚が得られる。いわば、充電のいらないEVにでも乗っているような乗車感覚になるのである。
また、e-POWERでワンペダル操作を使うのと使わないのでは燃費で1~2割の差が出るとのことで、e-POWERドライブの操作感覚をできるだけ違和感のないように修正した。なおかつ、ガソリンエンジンの冷却性能を高めてノッキングを起こしにくくすることにより、燃費性能も大幅に向上している。そしてシリーズ式ハイブリッドであることにより、瞬間的な急加速など燃料消費が多くなりがちな状況があっても、平均燃費が大きく左右されない利点もある。
低炭素社会に貢献するという社会的な責任を果たすだけでなく、利用者にとっていくつもの利点をe-POWERは提供できるのであり、単に安ければよいという消費者は、ほかのクルマを買えばいいのであって、新しいクルマの価値を体験したい人にとって新型ノートは買い得感の高い新車といえる。