ダウンサイジングの波で激増の「3気筒」エンジン! 「安っぽい」感触は「気筒数」の問題じゃない (1/2ページ)

スムースな回り方をするエンジンとして世の中に認知されてきた

 地球温暖化の防止対策として、二酸化炭素の排出削減が叫ばれ始めてからしばらく経つ。自動車の排出ガスも大きな要素のひとつで、率先して二酸化炭素削減化を進めるヨーロッパ市場で、2030年頃を目処に化石燃料からから電気エネルギー、つまりEV化への完全移行が積極的に進められているのが現状だ。

 こうした状況で大きな潮流となった技術トレンドが「ダウンサイジング」である。排気量を下げることで二酸化炭素の絶対排出量を抑えよう、という考え方である。しかし、排気量の引き下げは、直接的にエンジンパフォーマンスの低下を意味する行為でもある。排気量を小さく抑えながら、出力/トルクを確保するにはどうしたらよいか? その答えが過給機の装着だった。

 具体的には、排気量を下げる手法として、8気筒は6気筒ターボへ、6気筒は4気筒ターボへ、4気筒は3気筒ターボへという具体策が採られてきた。少シリンダー化のメリットは、エンジン本体を軽量、コンパクトにすることができ、部品点数を少なく抑えられることからコストダウンや信頼性の向上、さらに可動部の接触面積が小さくなることから摩擦損失を小さくでき、効率の向上を図ることができるといった点にある。

 一方、デメリットとしてはエンジンの回り方に関する質感の低下が挙げられる。いわゆる上質な回り方といった問題で、高次の慣性力、慣性偶力までバランスする直列6気筒が長く支持されてきたのはこのためである。逆に言えば、V8、V6、直列4気筒といったシリンダーレイアウトが、回転バランスを良化させるため、クランシャフト(軸位相も含めて)や付加物(バランサーシャフト等)で対策を施してきたことはよく知られるとおりだ。

 こうした工夫、改良により、これらのシリンダーレイアウトは実用エンジンとして熟成されてきたが、ダウンサイジングが声高に叫ばれたころから、それまであまり例を見なかった形式が実用化されるようになってきた。直列3気筒エンジンである。力のつり合いの問題から、奇数のシリンダー数が実用化されてこなかったことは歴史が示すとおりだが、直列5気筒(2基組み合わせたV10)を見てもわかるように、直列6気筒(V12)にはおよばないものの、スムースな回り方をするエンジンとして世の中に認知されてきた。


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