開発中のホンダフィット・モデューロXプロトにも搭載! 実効空力デバイスの実力をサーキットで試す (1/2ページ)

市街地を走る速度域でも効果を体感できる!

 ホンダ車をベースに改良を加え商品性を高めるのがホンダアクセスの主業務だ。そのメイン商品とも言える「モデューロX」シリーズは、2013年に登場したN-BOXモデューロXを皮切りにN-ONEからステップワゴン、S660にヴェゼルやフリードと多車種に及んでいる。

 そんなモデューロが近年、とくに力を入れているのが「実効空力デバイス」と呼ばれる空力パーツだ。エアロバンパーやスポイラーなど、空力パーツは数多くあるが、ほとんどのものはファッション性の見た目重視である場合が多い。モデューロXでは実際にドライバーが効果を感じ取ることができ、走行性能に有効な影響を与えることができる空力パーツを開発し、それを「実効空力デバイス」として鋭意開発を重ねているという。

 通常、エアロパーツの開発にはCAD解析や実車風洞実験なども繰り返し行っていくが、そうなると莫大なコストもかかる。そこでモデューロXは感応性豊かなテストドライバーと「匠の技」を持つ空力パーツクリエイターを用いて、実車装着での走行テストを繰り返して磨きあげてきているという。

 今回はそうしたモデューロXの「実効空力デバイス」を直に体験する試乗会として千葉県・袖ヶ浦フォレストウェイレーシングコース内に設置された特設コースで実効性を確かめる試乗テストが開催された。

 まずはミニバンとして人気が高いフリードのノーマル仕様をテスト。ロールの大きなコーナリング姿勢と高速直進時のふらつき感などを確認。

 次にモデューロX仕様にフロントバンパーのみノーマルへ戻した仕様を試す。サスペンションのチューニングで車体ロールは軽減され、コーナリング姿勢は向上。直進性も高まるのだが、固められたサスペンションは路面のバンプやアンジュレーションの大きなシーンではタイヤの接地感が薄まることがあった。

 最後に「実効空力デバイス」のフロントバンパーカウルを装着したフルモデューロX仕様を試す。するとコーナーでもストレートでもタイヤの粘るような接地感が高まり、タイヤはつねに路面を捉えようとしている感触が明確に伝わってきたのだ。これはフロントバンパーのチューニングにより車両全体でダウンフォースが増したとしか考えられない現象だ。モデューロXのフロントバンパーカウルを見ると、3つの特徴的なポイントが確認できる。

 まずはフロントカウル両サイドに備わるエアロフィンだ。フィッシュ形状のような流線型の突起部がバンパーカウルと一体成型で形づけられ、外観のアクセントにもなっている。これは車体前部両サイドを流れる空気を整流し、前輪ホイールハウスからの気流の乱れを抑制。旋回特性を安定させる効果が得られる。

 またバンパーカウル前部下部に位置するフロントスポイラーは、その両サイド地面側下部にエアロボトムフィンが形成されていて、ホイールハウスに流れ込む空気の流れを整流し、サスペンションの動きを良くする効果を与えている。

 極めつけは、そのフロントスポイラー後部でバンパーカウル下の裏側中央部、ほぼ外からは視認できない位置にエアロスクープをふたつ備えさせていることだ。これで車体下を通過する空気の流速が速められ、ベンチュリー効果でダウンフォースを発生させる効果が与えられている。

 これらの相乗効果で車体全体の空力に好影響が及び、4つのタイヤが常に路面に粘るような感触が得られているというわけだ。実際にその効果が想像以上で、何か魔法でもかけたかのように走りの感応性が高まっていた。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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