搭乗者傷害は最初に部位や症状毎に保険金を設定する
任意保険の加入はクルマを運転するうえでの常識だし、社会的なマナーでもある。自賠責だけでは、十分な補償がされないため、万が一のときに一生かかっても支払えないような賠償金や治療費が発生することもありうるのだが、保険の項目にはいろいろとあってわかりにくいというのも事実。実際は代理店やサイトのオススメに従って決めて加入していることが多いのではないだろうか。
もちろん補償が十分であればそれで十分なのだが、どんな内容なのかぐらいは知っておきたい。と思って、保険証券を見ると、人身傷害と搭乗者傷害のふたつがあって、説明書きがある場合はどちらも「契約車両に乗っている人が補償の対象です」とあったりする。となると、どちらかでいい気もするのだが、わざわざ別にしているというのは違いがあるのだろうか?
もちろん違いはあるものの、補償対象は確かに保険がかかっているクルマに乗っている人全員というのは同じ。肝心の補償で大きな違いがあって、まず人身傷害では、事故の過失に関係なく、治療費や休業補償などについてそのまま保険金が支払われる。ただし、搭乗者傷害でも過失割合は関係ないという点は紛らわしい。
搭乗者傷害の補償は、通院や入院の日数が5日以上の場合に支払われるので、全体の損害を確定する前に補償を受けることが可能。つまり一時な意味合いがあって、人身傷害は確定するまで支払いがされない。
また保険金の設定にも違いがあって、人身傷害では3000万円から1億円の間、無制限で設定ができて、介護が必要になった場合は2倍になることもあったり、先に紹介した通院費や休業補償だけでなく、葬儀費用もカバーされる。また被保険者とその家族がクルマをおりて事故に遭ったりした場合も補償を受けることが可能だ。
一方の搭乗者傷害では、最初に部位や症状毎に保険金を設定。また、通院費などは補償されないし、車外も同様という大きな違いがある。
一見するとクルマに乗っている人を守ってくれるように思えるが、細かく見ると結構違うのがこのふたつの補償。イメージとしては、搭乗者傷害は人身傷害の上乗せといったところだ。この点はどう判断するかは人それぞれだが、理解したうえで外すという判断ができれば、納得の上での保険料節約にもつながる。