大型ミニバンでも3列目の乗り降りに制限があることも
ミニバンを所有する最大の魅力は、あくまで多人数乗車性にある。視界の高さによる見晴らしのいい乗車感覚を味わいたいだけなら、SUV、クロスオーバーSUVで十分。しかし、5人以上の乗車となれば、これはもう、ミニバンが最適だ。SUVにも一部、3列シートモデルはあるが、あくまでサブシートという位置づけであることが多く、着座感、乗降性、空調の届き方(3列目席用のエアコン吹き出し口があるため)でミニバンに勝てるはずもない。
では、3列目席が”ハズレ席”になりにくいミニバンはと言えば、もちろん、超人気のトヨタ・アルファードやビッグMCをしたばかりの日産エルグランド、そのやや下のクラスになるホンダ・オデッセイなどのLL、Lクラスが筆頭だが、それでも注意点がある。というのは、アルファードクラスの大型ミニバンでも、2列目席がベンチシートだと、3列目席の乗り降りの自由度が低減。やはり、2-3列目席ウォークスルーができる2列目キャプテンシートがベターだ。
アルファード(ヴェルファイア)を例に挙げると、上から2番目に豪華な2列目エグゼクティブパワーシート仕様が、2-3列目席スルー幅がもっとも広い(約145mm)。リラックスキャプテンシートのほうがシート間の隙間自体は幅広なのだが、そこにある折りたたみテーブルによってスルー幅が狭まってしまうのだ(実質約100mm)。そのエグゼクティブパワーシート仕様の3列目席に身長172cmの筆者が座ると、頭上に145mm、膝まわりに最小130mm(2列目席後端位置。2列目席を前方スライドさせれば拡大)ものスペースがあり、2列目席ウォークスルー&2-3列目席スルーの2通りの方法でスマートに乗り降りできるからじつに便利で実用的だ。
ちなみに、アルファードの3列目席は、どのタイプでも立派な2列目席に比べ、見た目は普通で座面が平板なシートだが、意外にも、長時間乗っていると快適だったりする。上級キャプテンシートはひじ掛けを使うと、路面によって微振動が発生し、せっかくの豪華な着座感を損なうこともありがちなのだ。
室内空間の広さでは、Mクラスボックス型ミニバンもなかなかだ。が、日産セレナ、ホンダ・ステップワゴン、トヨタ・ヴォクシー&ノアなどがひしめくなか、どの3列目席も同じようなもの……と思ってはいけない。2列目キャプテンシートを基準にするならば、乗降性では、キャプテンシートが前後左右にスライドできるセレナ、ヴォクシー&ノアが有利。というのは、2席を幅寄せしたモード状態なら、スライドドアから3列目席に乗り込む際の乗降幅が拡大でき、また、2-3列目席スルーなど、マルチな乗降方法が可能になるのである。