ジムニーはイギリスで販売中止に
世界的にSUVがブームとなっている。いかにも悪路走破性が期待できるロードクリアランスの大きなモデルを“街なか”で見かけることは日常だ。とはいえ、SUVのなかには2WDのモデルも少なくないし、4WD機構についてもスタンバイタイプであったりして悪路走破性が期待できないことも珍しくない。
もちろん、FWDベースのAWDであっても、ブレーキLSDやトラクションコントロールなどの電子制御を緻密にセッティングすることで、かなり高いオフロード走破性を実現していることもあるが、それでも極限的なステージになるとハードコアなオフロード車にはかなわない。
そんな本格オフロード車の条件といえば、フレームシャシー、ローレンジの用意された変速機、デフロック(直結デフ)をもつ駆動系といったところだろう。こうした条件を満たすクルマといえば、国産車でいえばトヨタ・ランドクルーザー、ハイラックス、そしてスズキ・ジムニーくらいしか存在しない。輸入車でもメルセデスGクラス、ジープ・ラングラー、ランドローバー、レンジローバーくらいで、SUVブームのなかで少数派となっている。
その理由は環境性能だ。たとえば、ジムニーはイギリスで販売中止になってしまったというニュースもあるが、CAFE(企業別平均燃費)と呼ばれる規制が厳しくなっていることに原因がある。フレームによるシャシーはモノコックに対して重くなりがちであるし、ローレンジを持つ直結4WDシステムというのも駆動ロスが大きい傾向にあり、素性として燃費(環境性能)には不利という面があるのだ。
たとえば、660ccターボエンジンを積むジムニー(5速MT)の車両重量は1030kgでWLTCモード燃費は16.2km/Lとなっている。一方で、同じくターボエンジンを積むハスラー(4WD・CVT)の車両重量は880kgで、WLTCモード燃費は20.8km/L。この一例だけをもって一般論化するのは難しいが、同じようなエンジンでフレームシャシーのオフロード4WDとモノコックボディのSUVを作ったとき、車両重量や燃費性能にこの程度の差がつくというのは、ひとつの事実として見逃せない。