溝が残っていても寿命を迎えるものもある
氷面でもガッチリと食い込むチェーンがベストとはいえ、振動や脱着の手間がないスタッドレスタイヤはやはり便利だ。最近は性能もかなりよくなり、不安もなくなってきた。しかし、チェーンと違って、寿命があるのがスタッドレスを使ううえでの最大の注意点だ。もちろん寿命がきていれば、氷上はもちろん雪上でもスリップし、危険度は増す。
寿命の見極めだが、まず期間として3シーズンぐらい。最近はメーカーもロングライフに力を入れているが、それでも最長で5シーズンがせいぜいだ。それ以上はたとえ溝がたっぷりと残っていても、使用しないほうがいい。
それだけに中古で購入するときはもちろんのこと、新品でもいつ製造されているのか見て、あまりに古いものであれば交換してもらおう。ちなみにタイヤには作られた年と週が4ケタの数字で表示されているので、それを参考にする。
使わないでも劣化する原因はゴムの硬化だ。タイヤに使われているゴムは「生もの」。内部から油分が徐々に抜けていくことで、カチカチになってしまうし、最悪は細かいヒビ割れも出てくる。こうなれば凍った路面に食いつくことなどは無理。ただツルツルと滑ってしまうだけというのは、誰でもわかるだろう。ちなみに硬化させないためには、オフシーズンの保管方法が重要で、ザッと洗って1本ずつビニールに入れて冷暗所で保管するのがベストである。
もちろん硬化してなくても、溝がなくなってくれば寿命というのは夏タイヤと同じなのだが、スタッドレスは少々見方にコツがある。通常、溝の間にあるスリップサインが、表面とツライチになったときが寿命となる。スタッドレスでも同じなのだが、じつは2段になっていて、上側がスタッドレスとしての寿命。そして、下段のスリップサインが表面に出るまでは夏タイヤとしては使える。とはいえ、スタッドレスのブロックは柔らかいので、ドライ路面でスピードを出すとヨレて不安定になることも。夏タイヤの代わりになるとはいえず、履き替えるまでの時間猶予程度で考えたほうがいいだろう。