映画の「爆発的加速」をするクルマが積む「ニトロエンジン」って何? 搭載する「市販車」は実在するのか (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ニトロはナイトロと呼ぶのが正解でニトログリセリンとは違う

■シリンダー内の酸素を増加してパワーアップを図るシステム

■市販車には搭載されおらずチューニングメニューとして存在

本来の発音ではニトロでなく「ナイトロ」が正解

 クルマが主役といえる人気映画シリーズ『ワイルドスピード(原題:The Fast and the Furious)』などで「ニトロエンジン」という言葉を見かけ、印象に残っているというクルマ好きは少なくないだろう。ニトロという響きから連想するのは、おそらくダイナマイトの原材料でもあるニトログリセリンで、いかにも爆発的なパワーアップを予感させることも印象に残る言葉となっている。

 とはいえ、クルマのパワーアップに用いるニトロというのは、「ナイトラス・オキサイド(亜酸化窒素)」のことで、化学式でいうと「N2O」であり、日本語では笑気ガスと呼ばれるもの。窒素と酸素という構成からもわかるように、けっしてそれ自体が爆発するような危険なしろものではない。本来の発音からすると「ナイトロ」と略すべきなのだろうが、字幕などではインパクト重視で「ニトロ」と使われていると理解すべきだろう。逆にいえばクルマ好きであればニトログリセリンと誤解されることを避けるために「ナイトロ」という表記を積極的に使っていくべきだろう。というわけで、以下「ナイトロ」という表記で統一する。

 さて、その「ナイトロ」を利用することでエンジンがパワーアップする仕組みは、冷却効果と酸素密度のアップという2点に絞ることができる。亜酸化窒素を車載する際には高圧タンクに液化した状態で充填する。手法としてはいくつかあるが、ナイトロをインテークマニホールドに噴射するというのが基本だ。

 圧縮され、液体となった物質が気化する際には気化熱によって温度を一気に下げる。そのため吸気温度が下がる。吸気温度を下げると密度が上がるため、同じ容積内に含まれる酸素量が多くなり、それだけ多くのガソリンを燃焼させることができる。すなわちパワーアップするというわけだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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