ハイエースでは賄えないヘビーデューティー向けだった
皆さんは「ルートバン」というものをご存知だろうか? フロント部分はトラックでキャビン以降はワンボックスバンとなっている不思議な見た目のアレのことだ。
このルートバンは現在、日野のほかトヨタからもOEM販売されており、フロント部分はダイナ(デュトロのOEM)、リヤ部分は先代の100系ハイエースとなっている。もともと全く異なる2つの車種のボディを繋ぎ合わせているため、キャビン後方には不自然な段差が存在しており、なんとも不思議な雰囲気を醸し出している車種となっている。
ではなぜこのような不思議な車種が存在するのだろうか? ボディ後半は先代ハイエースのボディパネルがそのまま使われているため、室内空間もほぼハイエースと同等。となると現行ハイエースでも充分に事が足りるのでは? と思われる方も多いハズ。
しかし、これには大きな理由が存在していた。それが最大積載量である。
通常のハイエースは1トン前後が最大積載量となるが、そこに架装をプラスすると当然最大積載量は減っていく。場合によってはもともとの最大積載量を超えてしまう場合も出てきてしまうのだ。
とくにこれに該当したのが多額のお金を運ぶ現金輸送車で、頑丈な金庫のような装甲を施すと1トンを超えてしまうケースもあったため、よりシャシーに余裕のある2トンクラスのトラックをベースとしたルートバンが生まれたというワケである。
つまり、ハイエースでは賄えないようなヘビーデューティーな用途に向けて、トラック用のシャシーを使ったワンボックスバンこそがルートバンということになる。
現在ではハイエースも最大積載量1250kgのモデルが存在しており、ダイナルートバンと同じ積載量となっているが、シャシーの堅牢度ではやはりトラックの方が数段上。最近では路上で見かけることも少なくなってきたとはいえ、一定の需要がある限りは存在し続ける車種と言えるのではないだろうか。