投稿日: 2017年1月3日 11:15 TEXT: 藤田竜太 【ニッポンの名車】あり得ないほど贅沢な専用設計! FRオープンスポーツ・ホンダS2000 Category 自動車コラム その他コラムTags HONDA S2000 ニッポンの名車 画像はこちら NAエンジンながらリッター125馬力を実現 S2000は、本田技研工業創立50周年記念として、1998年に発表され、翌年4月から販売され2009年8月に生産終了。ホンダでは、S800から29年途絶えていたFR車の復活ということもあり、大きな話題となった。単にFRというだけでなく、じつにエポックメイキングなクルマで、ホンダがこだわり抜いた一台だった。 これまでのオープン2シータースポーツは、生産台数の多い乗用車、ファミリーカーなどのパーツを流用して、価格を抑えるとともに、軽量化に力を入れて運動性能を上げるというのがセオリーだったのに対し、S2000はほとんどの部品を専用パーツとして新設計。 まずエンジン。これはJTCCで活躍したアコードのレース用エンジン、H22Aベースの2リッターエンジンのデチューン版ともいえるF20C。量産車にもかかわらず、レッドゾーンが9000回転からはじまる比類なきエンジンだった。オイルパンもアルミ製で、バルブやバルブスプリングの素材は、F1やCART用のエンジンと同等のものを使用。 11.7の高圧縮を実現し、NAエンジンでリッター125馬力を達成。しかも環境性能も驚くほど優秀だった。このエンジンは縦置きのFR用エンジンで、贅沢にもS2000専用のユニット。6速ミッションも36mmという世界最高水準のショートストロークにこだわった新設計の自社製ミッションで、これまたS2000専用。 シャーシは、フロアトンネルをメインフレームにするハイXボーンフレーム構造。そのボディ剛性は、オープンカーながら、クローズドボディのインテグラ・タイプR(DC2)に匹敵した。 ホンダが「FRビハインドアクスル・レイアウト」と呼ぶ、フロントミッドシップレイアウトにこだわり、重量配分は実測でF49.5:R50.5というのも例がない。ホイールベースは2400mmで、トヨタ86の2570mmや、FD3Sの2425mmより短く、切れ味のいいコーナリングを実現。 ただし、リヤのサスペンションメンバーが、メンバーブッシュを介さない直付けタイプだったこともあり、乗り手を選ぶ、かなりピーキーな味付け(とくに初期型)だったのも確か……。またリヤブレーキの熱容量にも問題があり、その影響でサーキットユースではリヤハブが弱点にもなっていた。 また、22.2kg-mのトルク(AP1)に、1240㎏の車重というのは、少々ヘビーウエイトだった。同じ1999年デビューの、ランエボⅥのRSが、ターボ+4WDで、1260㎏だったことを考えると……。 全体的には、サーキットでのスポーツ走行を意識しすぎて、オープンカーらしくない、かなり“力んだ”クルマになってしまった感は否めないが、このサイズ、この価格で、このパフォーマンスという贅沢なクルマは、ホンダに限らず、世界中の自動車メーカーから、もう二度と出てこない可能性がある。 この希少性、この価値感が、生産中止になる前にもう少し知られていれば、もっと販売台数も伸びて、モデルライフも伸びただろうにもったいない。その存在は、遅ればせながら中古車になってから輝き出して、今現在、S2000の中古車価格は平均で200万円と高値をキープ。 歴史に残る名車の一台なのは間違いないのだが、ホンダはこうしたクルマの主要パーツの製造廃止が早いことで知られているので、それだけが心配。オーナーたちが、ずっとS2000が乗り続けられるように、ホンダにはぜひともパーツの生産を継続してもらいたいところだ。 画像をもっと見る編集部が選ぶ!あなたにおすすめの記事 【ニッポンの名車】5台限定5000万円のモデルもあった初代ホンダNSX! 【PR】【2024年12月】車一括査定を利用するならどこがおすすめ?ランキング形式で紹介 【ニッポンの名車】トヨタ・カローラ同様に生誕50周年を迎えた日産サニー 【ニッポンの名車】トヨタ2000GTってスゴかったの? 【ニッポンの名車】ヨタハチの名前で愛されたトヨタスポーツ800 【試乗】復活プレリュードは「退屈とは無縁」のハイブリッド! タイプRのシャーシを使い本気の走りを追求!! 藤田竜太 FUJITA RYUTAモータリングライター 愛車日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)趣味-好きな有名人- 藤田竜太 の記事一覧
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